すると、上位の国がテクノロジーの活用で抜きん出ているかといえば、そうでもありません。スタティスタが世界56カ国で定点観測として行っている消費者調査から、ヘルスケア関連のアプリに関する利用実態を集計。代表的な国だけを抽出すると、わかりやすいコントラストが見て取れます。
8カ国におけるヘルスケア関連アプリの利用状況 2020年時点(出典:Statista)
最もアプリを活用しているのは中国の65%、しかもそのおよそ7割が有料アプリを使用しています。一方の日本は12%と低迷していますが、裏を返すとまだまだ伸びる代があるということ。新しいテクノロジーの浸透が遅れてやってくる傾向が強い日本でも、今後の可能性に大きな期待ができるとも言えます。
もっと大きな地域単位で俯瞰すると、アジア太平洋や欧米の成熟度が明らかです。今後の人口増や昨今のモバイルの急成長といった要素を考えるならば、サハラ以南のアフリカが狙い目と言えそうです。
スマホが浸透し始めた初期には「24時間30cm以内」とも言われ、常時接続性の高さがハイライトされましたが、スマートウォッチやフィットネストラッカーを身につけて自分を「常にモニタリング」し、健康状態を可視化、分析することも世界では日常となりました。
こうしたデバイス市場の動向を見ると、2017年に189億ドルだったのが、2020年には463億ドルに成長。そこから2026年にかけてほぼ倍増、913億ドルにまで成長する見込があるとされています。
デバイスは、スマートウォッチだけではありません。IoMT(Internet of medical things)が上半身にほぼ「全部入り」となったイラストをご覧ください。電子タトゥーでストレスホルモン分泌をチェックしたり、フェイスマスクで呼吸パターンを測定したり、来るかもしれない未来が描かれています。
まだ市場が確立されていないテクノロジーも多いですが、例えば、皮膚温度や代謝をウォッチする「スマートテキスタイル」に関しては2019年の11億ドルから、2027年には64億ドルへと大きな伸びが予測されています(Research and Markets社調べ)。
皮膚温度の変化を察知してアクションを促したり、自動でコントロールをしてくれる機能は、業務で制服を着用するケースや肉体的な作業を伴う場合だけでなく、体温調節機能が衰えるとされる高齢者への普及も期待したいです。