新たに制裁対象になったのは、欧州とアジアで最大級のマイニング業者であるビットリバー(Bitriver)社(編集注、広島に拠点を置くビットリバー(bitRiver)社とは別)とその子会社10社。財務省によるとビットリバーは昨年、資産の所有権をスイスに移したが、事業はなおロシア国内の3拠点で行っているといい、「ロシアのテクノロジー部門で活動している」と認定された。
財務省はマイニング企業について、仮想通貨を世界に売る広大なサーバーファームの運営を通じてロシアの天然資源の収益化を助け、それによって経済制裁の影響の相殺に手を貸していると指摘した。
財務省によると、ロシアはエネルギー資源が豊富で気候も寒冷なため、大量のエネルギーを消費する仮想通貨マイニングで比較優位性があるものの、マイニング企業は輸入品のコンピューター機器や現金での支払いに頼っているため、制裁の影響を受けやすいという。
ビットリバーは自社のウェブサイトで「環境に優しい仮想通貨マイニングの世界最大のホスティングプロバイダー」とうたい、シベリアのブラーツク市で米国など西側諸国の採掘者向けに100メガワットのデータセンターを運営していることなどを紹介している。設立は2017年。
フォーブスはビットリバーにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
財務省はこのほか、ロシアのトランスキャピタル銀行や、ロシアのオリガルヒ、コンスタンチン・マロフェーエフに関係する組織や個人40人あまりも制裁対象に指定した。マロフェーエフは今月、ロシアがウクライナ南部クリミアを併合した2014年に科された制裁に違反したとして米国で起訴されている。米当局によると、欧州の報道機関を取得するために共謀して1000万ドル(約13億円)を移転した疑いがある。
ブライアン・ネルソン財務次官(テロ・金融情報担当)は声明で「財務省はロシアに対する米国の制裁を逃れている者や逃れようとする者、逃れるのを手助けする者をターゲットにできるし、そうするだろう。こうした者たちはプーチンがみずから選んだ残忍な戦争に加担しているからだ」と述べている。
財務省は今月5日、マネーロンダリング(資金洗浄)防止義務を故意に無視したとして、モスクワに拠点を置く仮想通貨取引所「ギャランテックス(Garantex)も制裁対象に指定している。