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2022.04.21 07:30

新CEOのもと、急成長路線に舵を切った米トイザらスの今


この件について現在も係争中の元債権者たちは、こうした事態は防げたはずだとの見方をとっている。トイザらスは、事業の段階的縮小を選択せず、代わりにDIPファイナンス(事業再生融資)を受ける契約を結び、JPモルガン主導のこの融資スキームにより最大31億ドルを確保したと発表した。

DIPファイナンス自体は、再建中の企業が事業を継続するための標準的な手段であり、トイザらスの復活とサプライヤーの支持獲得の両面において、カギを握る要素だった。だが、訴えを起こした元債権者たちは、当時のトイザらス経営陣は「同社が融資コベナンツを順守することが可能か否かという評価を怠った」と主張し、「突然の債務不履行と強制的な清算を避けるためには、この評価が必須だった」と述べている。

起死回生のきっかけとなった、WHPグローバルの経営権掌握


その後、米国ではすべての店舗が閉店となったが、2021年1月に、ブランドマネジメントを専門とするWHPグローバルが、トイザらスの現在の親会社の支配株主になり、それ以降はイノベーションが続々と導入されている。

その一つが、同ブランドにとって初となるNFTコレクションだ。これには、新たなオーディエンスにトイザらスを知ってもらうという狙いがある。

WHPグローバルのシュミッドマンCEOは、トイザらスがデジタルの世界で成功を収めていると指摘した。ネット上で話題を呼んだTikTokアカウントは3000万ビューを獲得したほか、YouTubeチャンネルも、「このブランドを、現役世代や次の世代にとって身近な存在にする、無限の可能性を秘めている」と同氏は述べる。

一方、トイザらスは再び実店舗の展開にも着手した。2021年8月にはメイシーズと提携。これにより、全米に400以上あるメイシーズ系列の店舗に、トイザらスのストアを設けることが可能になった。そして2021年のクリスマスを前に、前述した「アメリカン・ドリーム」モールに総面積2万平方フィート(約1860平方メートル)の旗艦店をオープンした。

グローバル展開についても、シュミッドマンはトイザらスが「比類なき世界的成長」を追求していると述べ、総店舗数を、現在の900店から2022年末までに1300店にまで拡大すると述べた。

「中国から英国まで、世界各地で新たな店舗をオープンし、年内に世界の延べ店舗面積を5割増にするつもりだ。現時点でこのような拡大路線を取る小売業者は、私が知る限りは他にない」とシュミッドマンは胸を張った。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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