リンクトインは、同社が公開しているユーザーのプロフィールデータを許可なく収集し、利用しているデータ企業hiQ Labsが、情報保護に関する法律のCFAAに違反していると主張し、訴訟を起こした。同社はまた、hiQ Labsからのアクセスを制限していた。
しかし、裁判所は「hiQ Labsが収集しているリンクトインのデータは、誰でもアクセスできるよう公開されたものだ」と述べ、2019年の仮処分命令で、リンクトインに対しhiQ Labsへのアクセス制限を解除するよう命じていた。
この判決に対し、リンクトインは「ユーザーのコントロール権を守るために戦い続ける」と宣言し、控訴裁判所に控訴した。しかし、米国第9巡回控訴裁は18日、2019年の仮処分命令を支持し、リンクトインの主張を退けた。
hiQ Labsは、リンクトインから収集したデータを使って法人顧客向けのレポートを作成し、どの社員が辞める可能性が高いか、どの社員が他の企業の採用担当者に狙われる確率が高いかなどを特定している。
これに対し、リンクトイン側は、hiQ Labsの行為がハッキングやサイバー攻撃などの行為を禁じる1986年の連邦コンピュータ不正利用法に違反し、ユーザーのプライバシーを脅かし、同社とユーザーの間の信頼関係を損なうと裁判所に訴えていた。
リンクトインの広報担当者は、今回の判決を受け、「この訴訟はまだ終わっていない」と述べた。
グーグルもスクレイピングを活用
スクレイピングは、必ずしも違法行為とはみなされておらず、グーグルは、検索結果に含めるウェブページのアドレスと説明を自動的に収集するためにスクレイピングを使用している。スクレイピングは科学的研究のためのデータをより効率的に収集し、処理するためにも使用されている。
現在進行中の英国政府によるオピオイドの死者に関する研究でも、スクレイピングを利用して検視報告書からデータを収集し、手作業の数百倍の処理スピードを実現している。