資金獲得後のトレースの評価額は1億9000万ドルとなり、前回のラウンド直後の5倍以上に跳ね上がったと、同社の共同創業者であり最高経営責任者のデビッド・ロクシンは述べる。
シリーズCラウンドを主導したのは、ユタ州ソルトレークシティに拠点をおくベンチャーキャピタル企業のペリオン・ベンチャー・パートナーズ(Pelion Venture Partners)だ。トレースはこれまでに総額6520万ドルの投資を受けており、2019年後半のシリーズBラウンドでは1500万ドルを獲得した。
トレースは、特許をもつ広角カメラ、人工知能、GPSセンサー技術をセットにしたサブスクリプションサービスを、全米のユース・サッカークラブに販売している。クラブが試合の際に同社システムを利用すると、カメラが試合を撮影し、選手個人ごとにパーソナライズされた動画の編集を自動的におこなう。
これらの動画は、例えば各選手が試合中にボールにタッチしたり蹴ったりした瞬間をすべて収めている。したがって親たちは、試合全体を見返してわが子の活躍シーンを探したり、自分で編集したりする必要がない。編集された動画は、選手やその親たちにメールで送信され、そのあとは家族や大学のコーチに自由にシェアできる。
現時点ですでに1000以上のサッカークラブがトレースを利用している(各クラブは、時に10以上のチームから構成されている)。トレースによれば、同社のカメラとテクノロジーを利用しているユース選手は140万人におよぶ。
トレースは2022年3月、米国9州とワシントンD.C.に展開し、10万人以上のユース選手を抱える「クラブチャンピオンズ・リーグ」との2年契約の締結を発表した。
これに先立ち、トレースは2022年、野球とソフトボールのクラブにも、サブスクリプション販売を開始した。同社はシリーズCでの獲得資金を利用して、サッカー、野球、ソフトボールの各事業を成長させ、社員数を現在の約100人から、今年の秋までに160~170人に増員する計画だ。