最後に2つ目の基調講演登壇者であるアニモカ代表ヤット・シウ(Yat Siu)が語る「メタバースで人間の創造性はどう花開くか」セッションの内容をお届けする。Web3やNFT、DAOというものの可能性を大きく感じる言葉に溢れていた。モデレーターのシェリー・パルマーの質問に、ヤット・シウが答えた。
まず、人間のクリエイティビティについて。
「私たち人間は生まれながらにして創造性豊かな存在です。ですが、その創造力が学校に入ることにより産業化されていってしまっています。Web3は人間の創造性を呼び戻すものであると考えます。Web2で特定の企業に集約されていた創造性が、Web3時代にはクリエイターそのものに、人間に戻されるイメージです。いままではFacebookなどのプラットフォーマーがデータを集約し、またApple musicやSpotifyがクリエイティブデータをコントロールしていました。ユーザー視点が抜けていたのがWeb2です」
確かに現在のNFT界隈での動きを見ていると、Twitterで知り合いが勧めているからNFTコミュニティに参加する動きが多く、プラットフォーマーのレコメンドはそれほど意味を成していない。ただ、Web2時代の企業がNFTに参入してきて、今まで通りのレコメンドをしている点も見られるようになってきている。そのようなプラットフォーマーがおすすめするNFTなどはWeb2レコメンドと呼ぶことにしようと密かに思っておく。
さて、話を戻そう。シェリー・パルマーはヤット・シウに、メタバースの可能性についても聞いている。
シウ:「昔はどの大学に入り、どの会社に行くかで人生が決まっていた。これは現在では変わってきている。メタバースでは人間の心構え(Human Preparedness)とデジタル活用能力(Digital Preparedness)が必要で、ソフトスキルがとても重要になる。明確な進路やキャリアパスがあるものではなく、自分で探求しながら進む時代へとなっていく(an age of the exploration)。アーティストは経験や持論という“自身のデータ”を使って作品を作っていく。そのデータを資産として活かしていけるのがNFTでありメタバースである」