【NFT.LAレポート】Web3は「人間の創造性」を呼び戻す


ピンクフロイドのサックス担当、スコット・ペイジ(Scott Page)が創業する「Think:NFT」のNFT×音楽業界セッションでも、今までの大手レーベル&広告ベースの音楽ビジネスから、より小規模でも熱狂なファンを大切にする仕組みが大事でそのためにもNFTがキーになると語る。ラッパーのスヌープ・ドックがDEATHROWレコードを大手レーベルから買い戻し、NFTベースの音楽販売をスタートさせたことも含め、今後の音楽業界・音楽とファンのつながり方は大きく変わるものと考える。

バットマンNFTリリースを発表したDCコミックスのジム・リー(Jim Lee)はNFTの可能性を「ストーリーテリングのパラダイムシフト」と語る。NFTのホルダーが新たなストーリーを作ることができるストラクチャーを考えているとのことだ。バットマンNFTリリース発表後すぐにDiscord内のコミュニティに参加したのだが、憧れのバットマンを自分のストーリーとして語れるようになる新たなNFTの情報を知り、一気に5000人ほどのファンが集まったのを目の当たりにした。

ストリートウェア「The Hundreds」創業者のボビー・ハンドレッズ(Bobby Hundreds)は、現在のNFTの流れを2000年代のドットコム企業勃興と近しいものであると語るが、同時に、大きな違いとしてオープンソーステクノロジーを元にしている点もあげる。Web2に関してはミドルマン・仲介業者が必要であると同時に、GAFAのプラットフォームも必要であったが、Web3ではどのようにオープンでい続けるか? そのためにはOpenSeaなどの特定のプラットフォームに依存している点も問題視し続ける必要があると語る。

コンテンツとビジネスモデルが一緒に作られている。様々なバックグラウンドの方が自分ごととして参加できるのがWeb3である。



政治への新たな市民の参加のカタチ


NFT.LA最終セッションはニューヨーク市長選に立候補し、2024年アメリカ合衆国大統領選挙への意欲を示しているアンドリュー・ヤンが「Lobby3DAO」「GoldenDAO」を率いて登壇した。彼が作るDAOは新たな政治との関わり、人種差別撲滅ムーブメントへの動きへ参加しやすくする流れを作っている。

「Lobby3DAO」は現在、限定されたメンバーだけが参加できるロビイング活動を分散化させて、米国首都であるワシントンD.C.に多くの市民の声を届けるものだ。Lobby3のサイトには「Web3コミュニティがワシントンDCでより強い発言力を持ち、より豊かな経済の未来を共に築くことを目的とする」と記載されている。また、「GoldenDAO」はコロナ禍に広まった米国内でのアジアンヘイトに対抗するための活動をまとめ上げるコミュニティを目指す。

アンドリュー・ヤンはDAOを立ち上げた理由を「未来に暗い雲が立ち込めているのをクリアにしたいと思ってDAOを作ったんだ。Web3の仕組みを使うと、若い世代の声を広げることも、別のコミュニティと繋げることもしやすいと考えたんだ。政治家としてもDAOは面白い仕組みだと考えている。」と語る。既存のワシントンD.C.のロビイストは平均年齢58歳という高年齢化している仕組みも変えたいし、意思決定者がWeb3はマネーロダリングの仕組みとしか捉えてないことに対してそうではないことを示すという意志も込められている。

GoldenDAOはNFTを購入し、参加する仕組みなのだが、セッション後にそのフロア価格も上昇していた。ニーズがあるDAOの仕組みであることが価格上昇からも理解できる。


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文=西村真里子

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