【NFT.LAレポート】Web3は「人間の創造性」を呼び戻す


未来のエンタメは共同創造(コ・クリエイション)がキーである


一つ目の基調講演はテクノロジーコンサルタントのシェリー・パルマー(Shelly Palmer)とプレイ・トゥ・アーン(Play to earn / ゲームで遊びながらお金を稼ぐ)の代表格「Axie Infinity」が語る『NFTの現状』だ。「Axie Infinity」を擁するRonin Bridgeはセッション当日約720億円ハッキングトラブルに見舞われたのであるが、代表のジホ(The Jiho)はセッションに遅刻してステージに現れた。

シェリー・パルマーのハッキングトラブルへのお見舞いの言葉をキックオフにセッションはスタートした。ご存知の方も多いと思うがNFTゲーム「Axie Infinity」はフィリピンを中心に人々の生活費を稼ぐゲームとなっている。このようなゲームで金儲けできる仕組みを作った背景をジホは今後のWeb3時代への布石だと語る。

「未来のインターネットはオープンソースになりユーザのものになる。ゲームはそのうちの一つである。ゲームはユーザが主導権を握って動かしていくものの代表格なので、今後の中央集権型と分散型のバランスを考えるためのマーケティングのパイロットツールとしてAxie Infinityを運営している」

Web2時代はGAFAなど巨大プラットフォーマーがデータを集約していたが、Web3時代はユーザーがデータを管理することになる、そのことを念頭にゲームを設計しているともいう。また、シェリー・パルマーのWeb3型のコミュニティを作る上で気をつけるべきことは何か? との質問に対しては、

「まずは中央集権型でスケルトン(雛形)を作り、その上で分散化させていくべきだと考える」と語る。

現在DAOなどの分散型組織に興味を持つ方々が多いが、フェーズゼロから分散型の組織DAOで動かすのではなく、まずは中央集権型で設計し、そこから分散化させていくのが現段階では必要とのことだ。



ミドルマン(仲介業者)を抜いてコミュニティとクリエイターが直接繋げる


ライブショー番組において製作側と視聴者が共同創造(コ・クリエイション)を目指す、米国の実業家マーク・キュバーンがスタートさせた「Fireside」も興味深い。世界初のWeb3コンテンツ・スタジオである「Fireside」は今までの“インタラクティブな番組”をさらに一歩先に進めるべく、NFTメンバーシップ / メタバースゲーム / コミュニティDAOの開始を考えている。

今後、HBO「Ramble On」にて活用予定で、出演者のチャーリー・シーンもステージに登場した。



既存のマスメディアでは実現できない高度な分析機能と、撮影スタジオ自体を視聴者に開放することにより一緒に番組を作り上げる環境を提供するのが「Fireside」だ。簡単な例として、笑い声などのエフェクトも視聴者に委ねているとのことだ。Twitter連動、YouTube番組などは今までもあったが、今までのテキストやスタンプベースのコミュニケーションをさらに一歩先に進めるのがこの「Fireside」であり、究極的には仲介業者を抜いて製作者と視聴者/ファンが繋がる仕組みを作りだそうとしている。
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文=西村真里子

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