「ピザは無償で食べられるべきである」という思想のもと活動するPizzaDAOは、NFT.LA会場内で無償ピザを提供していた。PizzaDAOは、2010年5月22日にLaszlo Hanyeczが10000BTC(現在価格で約500億円!)でピザ2枚を購入したことに起因する。ピザは、NFT界隈ではある意味象徴的な存在だ。
PizzaDAOは人の役に立つことであれば無償でピザパーティーを企画して良いとのことで、「日本で自然災害があった地域の避難先などでも無償ピザパーティーできるのか?」と聞いてみたところ、そのような企画もウェルカムだよ! とのこと。
DAO=分散化された組織だからこそ、強い信念や目的があると人の協力を集めやすいようだ。しかも、ピザという全世界が理解するコンテンツを元に活動しているのが、面白い。無償でピザをいただくお礼として、支援の気持ちも含めて靴下とTシャツを購入した。
会場の外でもお祭りは続く。通常はデジタルの世界でクリエイションをしている作家たちがミューラルアートにも挑戦する。10ETH(約500万円)ほどの価値を持つCool Cats NFTや、Wonderpalsなどの人気NFTの作家がストリートの壁に絵を描く姿にファンは熱狂していた。
また、各NFTコミュニティ毎にホルダー(所有者)限定のパーティーが開催され、人気NFT作家に直接会えるのもカンファレンスに参加する醍醐味だ。日本でも人気の「OBEY THE GIANT」を手がけるストリートアーティストのシェパード・フェアリー(Shepard Fairy) や、新進気鋭のNFT「Losers Club」のオーナーなどのミートアップにも参加した。オフラインイベント参加者限定のNFTが発行されるという仕組みも非常に魅力的だ。
NFTカンファレンスの楽しみは日本のコミックマーケットに行くようなものに近い。自分の好きなキャラに扮し、自分なりのストーリーを作り上げ同人誌を販売する。
出展者ではなくとも来場者も自分のNFTプロジェクトの宣伝や、自分の好きなNFTのキャラになりきる人に出会うのも楽しい。仮想通貨DOGE COINのモデルとなっている日本の芝犬「かぼす」と古典絵画を組み合わす新たなアート作品を作っている作家とも出会えた。
文化祭の延長上と近しい感覚ではあるが、この文化祭の延長上が数年後には大きな産業の軸になっているのだろう。MAKERS FAIRもCESのエウレカパークも最初は同じような香りがした。
80のセッションが展開──
さて、セッションはどのようなことが語られていたのだろうか?
ハリウッドが考えるNFT、ロビイングのためのDAO、女性の活躍のためのNFTなどエンタメから政治含めて幅広く三日間で公式で80セッションが展開された。ワーナーブラザースがメインスポンサーの一社でありDCコミックス「バットマン」のNFTリリース発表もあった。
連日セッションに参加した中で、共通して語られていたことは以下だ:
・未来のエンタメは共同創造(コ・クリエイション)がキーである
・ミドルマン(仲介業者)を抜いてコミュニティとクリエイターが直接繋がる世界へ
・政治への新たな市民の参加のカタチ
それぞれが語られたシーンを見ていこう。