韓国国籍で神戸育ちのアンナは、デザイナーを目指して20歳でニューヨークに渡り、その後イギリスや日本でもファッションデザインを学んできた。
2021年7月に自身のブランド「HAENGNAE(ヘンネ)」を立ち上げると、コロナ禍にもかかわらずファーストコレクションから話題を呼び、11月には大手セレクトショップ「RESTIR(リステア)」でのポップアップが決まるなど、華々しいデビューを飾った。
ヘンネは、ヨーロッパのオートクチュール技法をベースにした、プレタポルテ(既製服)のブランド。「大量生産・大量消費社会に嫌悪感がある」というアンナは、既製服でありながら「長く使える服」を目指している。
製品のクオリティの高さはもちろん、ドレスなのに洗濯ができたり、体型に合わせてシルエットを調整できたりと、長く着続けられるアイデアが詰まっている。
前編では、様々な場所で経験を積み評価を受けてきた彼女に、「ヘンネ」に込めた思いやその裏にある”原点”を聞いた。
(後編はこちら)
オートクチュールとプレタポルテの“いいとこどり”
シトウ:ファーストコレクションを見て、このクオリティの高さは何なんだろうって、すごいびっくりしたの。どこかで3年くらい修行を積んだのかなと思ったら、まさかのゼロスタートなんですね!
アンナ:そう言っていただけて嬉しいです。
私は“大量生産・大量消費”に嫌悪感を抱いているので、なるべく長く使えるようにということは意識しています。購入してくださった方が飽きてしまっても、他の誰かに託したいなと思えるようなお洋服にしたいんです。
だからこそ、素材もなるべく良いものを。かと言って、扱いにくいものではなくて扱いやすいものを選ぶようにしています。
シトウ:デイリーで使えるように?
アンナ:そうです。オートクチュールピースは、”洗濯“については一切考えないのですが、普段自分たちが着ているお洋服は、汚れるし、洗いますよね。だから、両方のいいところを兼ね備えた素材を、と思って選んでいます。
シトウ:私が今着ているお洋服も、洗えるし、UVカットになっていますね。
アンナ:そうなんです。自転車に乗るときにもぴったりです。