「とにかく本物を見なさい」
シトウ:そもそも、ファッションデザイナーに興味を持ったきっかけは何だったの?
アンナ:おばあちゃんの影響が強いです。趣味で美術館に行ったり、舞台を見に行ったりしているようなアートに関心がある人で。小学校卒業時に、お祝いも兼ねて2人でパリを旅行したんです。
シトウ:孫と2人で。すごい!
アンナ:初めてのパリで、美術館やメゾンの本店をまわったり、セーヌ川でクルーズしたりと、いろんな体験させてくれて。「今はわからなくてもいいから、とにかく本物を見なさい」と言われたんですよ。
私はその時、それらを見てどう感動していいかもわからないな、と思っていたんですが、「楽しむのは、いつか本物の価値がわかるようになってからでいい」と言われて。
他にも、食事に対しての姿勢とかもそういう感じで。目で見て楽しめて、かつ食べて美味しいものがいいよね、というスタンスでした。「コンビニでおにぎりを買うんだったら、家で握っていきな」と言われたりとか。今思うと、物心つく前から影響されていたんでしょうね。
シトウ:だからこのクリエイションなんだなと、腑に落ちました。解らないなりにも本物を見ておくことって重要ですよね。
量をこなすと、ある時に開花する時があるじゃないですか。「おばあちゃんが言っていたことってこういうことだったんだ」、みたいな。それがしっかりと作品に反映されているな、という感じがします。見てきたものがクリエイションになる、つまりイコール個性になるということだから、やっぱり教育は大事!
アンナ:そうかもしれないです。昔に見たことのあるものの中で、印象に残っているものってずっと変わらなくって、それが創作意欲とかクリエイティブにつながっているなと感じます。本当に感謝ですね。
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