シトウ:クリエイションはどちらかというとドレス寄りなのに、日常にも使える、そこのバランス感が秀逸だなと思って。
アジャスターが付いている服もあって、着る人の体型をあまり問わないですよね。こういうテイストのクリエイションでは「モデル体型の人が着られればいいや」となりがちなので。
アンナ:年代も性別も関係なく着ていただきたいなと思っています。体型って変わっていくじゃないですか。時代とともにお気に入りの洋服やスタイリングも変わっていくと思うので、そんな中でも長く愛でてもらえるように、いろんな着方ができる工夫をしています。
「HAENGNAE」2022ssコレクションより
あと、私自身、洋服を着るのも大好きなんです。その時は一般の消費者の方と同じ目線で、ケアしやすいかなとか、スタイルよく見えるかなとか、顔大きく見えないかな……、とかって気にするので、全部兼ね備えたいんです。じゃないとみんな満足しないんじゃないかなって思ってしまいます。
シトウ:なるほど、自然とマーケット視点も持ち合わせている!
夢を夢で終わらせない女性のための洋服
シトウ:面白いなと思ったのが、“大量生産・大量消費”に対するアンチテーゼであれば、シンプルで定番の形のお洋服に行きがちなのに、どちらかというと真逆な方向なんですよね。「いつ着るの?」みたいな。それはどうして?
アンナ:ヘンネのブランドコンセプトが「愛でる哲学を継承する強きロマンチストのためのお洋服」なのですが、私は、夢を夢で終わらせない女性のための洋服をつくりたいんです。
シトウ:好奇心があって、自分でやりたいことを叶える女の人っていう?
アンナ:そうです。なので、非現実的な非日常の世界観でありながら、機能性や洗えるといった現実的な要素も入れています。
シトウ:テイスト的にはガーリーというか、ロマンチックな感じがします。
アンナ:そうですね。「ロマンチックかつエッジイ」を意識しています。強さも兼ね備えながら、その人の内面の優しさとか、本来の美しさを表現できるようなお洋服です。なので「強きロマンチスト」なんです。夢は見るけど意志は強い、みたいな。