しかし、フィンクは3月末の年次書簡で、ロシアのウクライナ侵攻による大混乱がデジタル通貨の採用を加速させる可能性があると述べ、多くの人々はこの発言が、ブラックロックが暗号通貨業界に本格参入する予兆だと考えていた。
そのブラックロックが今、時価総額が500億ドルのステーブルコイン「USDコイン(USDC)」の発行元のサークル(Circle)と戦略的パートナーシップを締結し、主要なアセットマネージャーとなったことで業界に衝撃を与えている。
サークルは4月12日、ブラックロックに加え、フィデリティ(Fidelity)、Marshall Wace LLP、Fin Capitalなどから4億ドル(約500億円)を調達したと発表した。サークルは、今年中にSPACとの合併による株式公開を予定している。
ブラックロックは13日の決算発表会で、暗号通貨やステーブルコインだけでなく、資産のトークン化やブロックチェーン関連の事業を検討していると述べた。昨年6月に同社は、ブロックチェーン事業のリーダーを探していると報じられていた。
今回の提携は、ブラックロックが初めて自社のバランスシートにデジタル資産を組み入れた点でも注目される。同社は以前、マイクロストラテジーの株式の取得やビットコイン先物の契約を通じて、暗号通貨へのエクスポージャーを持っていたが、これらの投資は、同社の子会社やファンドを通じて行われていた。
サークルのCEOのJeremy Allaireは、フォーブスの取材にこのパートナーシップが「伝統的な資本市場に、ステーブルコインを適用する方法を模索するものだ」と述べたが、ブラックロックが管理するUSDCの準備金の割合などの詳細については回答を避けた。
しかし、今回の提携がサークルとブラックロックに追加収入をもたらすことは確実だ。サークルは、2月に公開した財務資料でUSDCの準備金が2022年に4億3800万ドルの収入を生み出し、2023年には22億ドルに膨れ上がると予想していた。