今、真庭市は「バイオマス産業杜市」としての「ブランド」を強みに、着実に歩みを進めている。
今回、真庭市の現状や今後の方向性をサーキュラーエコノミーの観点から探るべく、真庭市役所 総合政策部 総合政策課 未来杜市(SDGs)推進室主幹の森田学さん(冒頭写真右)と真庭観光局次長の中村政三さん(冒頭写真左)、同局事業部森脇由恵さん(冒頭写真中央)を取材した。
真庭市が歩んできた道とは?
バイオマスの取り組みで注目を集めてきた真庭市の変遷について、まずご紹介したい。
真庭市内で完結できる木材サプライチェーン
面積828平方キロメートルの中山間地域である真庭市の人口は約4万3000人。2005年3月31日の9町村合併により誕生した。北の蒜山高原や、湯原という美作三湯と呼ばれる温泉地、城下町として栄えた勝山エリア、医療福祉の機関を担う落合エリア、移住者が多い北房エリアなど、多様な地域で構成されている。
市内の森林面積は約79%と森林資源が豊富。そのうちの約6割が人工林で、杉が22%、ヒノキが72%と、ヒノキの産地としても知られる。このような森林資源構成を強みとして、林業・木材業が古くから発展してきた。
森林から原木市場(3市場)、製材所(約30社)、製品市場(1市場)と、木材のサプライチェーンが市内で完結できることが特徴で、これが後述する真庭市のバイオマスへの取り組みを可能にしている。
真庭市役所総合政策部 総合政策課 未来杜市(SDGs)推進室主幹 森田学さん
「21世紀の真庭塾」-民間主導の取り組み-
市内で完結する木材のサプライチェーンを基盤に「木を使い切る」ことを進めてきた真庭市。その方策の一つとして木の部位でも使えない端材や廃材を使ったバイオマス事業を進化させてきたが、取り組みの発端は何だったのだろうか。