同社株は13%高の382ルピアで初日の取引を終えた。配車市場のユニコーンのゴジェック(Gojek)とEコマース大手のトコペディア(Tokopedia)が合併して誕生したGoToは、約30万人の投資家から15兆8000億ルピア(約1380億円)を調達した。
GoTo グループのCEOのアンドレ・スリスツヨ(Andre Soelistyo)は、「市場のボラティリティにも関わらず、投資家の当社に対する関心は高い。今後もインドネシアのデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していく」と声明で述べた。
時価総額が400兆3000億ルピア(約3.5兆円)に達したGoToは、通信大手のテレコムインドネシアに次ぐインドネシアで4位の上場企業となった。
GoToの2021年9月30日までの1年の取引総額は約414兆ルピアで、前年同期比62%増と急増したが、依然として黒字化を果たせてない。同社は2021年の最初の9カ月間で11兆5800億ルピアの赤字を計上していた。
ZWC PartnersのパートナーでGoToの投資家のビビアン・シューは、現在の勢いを考慮すると、同社の収益性はさほど問題ではないと述べている。アジアにおける新興市場のファンドマネージャーである彼は、中国でアリババやJD.com、Pinduoduoといったスーパープラットフォームの出現を目の当たりにしてきた。
「インターネット企業は、ユーザーに価値を提供し続ける限り、非常に高い粘着性を生み出し、最終的に収益性を達成できる」と、シューはインタビューで指摘した。
ただし、インドネシア市場は有料ユーザーの比率や、ARPU(ユーザー1人当たりの平均収入)が他の市場よりも低い。Eコマースを例にとると、SEAグループのShopeeなどの東南アジアの上場企業のARPUは約5ドルだが、JDやアリババなど中国の上場企業のARPUは100〜200ドルとなっている。
2014年にゴジェックの最初の機関投資家となったOpenspace Venturesの共同創業者のHian Gohも、トコペディアと合併したGoToが、顧客獲得のための支出を減らしていることが、明るい兆しだと分析している。
「ゴジェックとトコペディアの統合で生まれたGoToは、この市場で最も早い時期にキャッシュフローと利益を生み出す企業になる可能性が高い」とGohは述べた。
一方、他のアナリストたちのGoToのIPOについての見方は分かれている。テリマー・リサーチの調査責任者のニルグナン・ティルヘルヴァムは最新のレポートで、GoToのバリエーションは、競合のグラブ(Grab)のEV/sales の6倍以上のプレミアムだと指摘した。
ティルヘルヴァムはさらに、市場が収益化までの道のりが長い企業に対して忍耐強くはなく、GoToが2024年まで赤字を続けると予測されていることを指摘した。