電動小型モビリティシェアの事業者として、リースでの調達は国内初。
三井住友ファイナンス&リース、三菱HCキャピタルなど複数のリース会社と電動キックボードのセール・アンド・リースバック取引(所有する資産を売却し、その資産をリースとして契約する)を行い、ループはその売却により資金を得た。
加えて、三菱UFJ銀行、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫から融資を受けた。
これまでは、調達した資金で機体を購入する必要があったが、今回のリースにより、その負担が軽減されることになる。
CEOの岡井大輝は、こう話す。
「ハードウェアが事業の要であるスタートアップとして、全国へ一気に展開する下地が整いました。
リースによる調達にあたっては、ビジネスが軌道に乗っているかどうかだけでなく、安全面についても細かく質問やチェックをされました。地元警察と、ユーザーや近隣住民への安全講習会を開催していることや、ユーザーが事前に交通ルールテストを受け、満点合格しなければ乗れない仕様になっているといった点を評価してもらったと考えています」
ループのCEO 岡井大輝(提供=ループ)
「また資金繰りの透明性や、車両の二酸化炭素排出量といった環境への影響なども厳格に見ていただきました。
エクイティ(新株発行などで調達する、返済義務のない資金調達)なら、創業ステージの場合、ビジョンや事業への想いに投資していただけることも多いので、CEOだけで対応できます。しかし今回のリースや融資は、昨年加入したCFOの向山哲史をはじめとする経営チーム体制を構築していたからこそ実施できました」
ループは2020年から東京を皮切りに、神奈川、大阪、京都の4都市で、電動アシスト自転車と電動キックボードのシェアリングサービスを展開。車両を置く“ポート”の設置数は、昨年10月時点の約500カ所から、今年3月末時点で約1100カ所に、およそ800台(同10月時点)だった車両は、この5月に5000台程度になる見通しだ。
国内で参入企業は他にも存在するが、ループの強みは高密度なポートのネットワークが敷かれていることだ。例えば渋谷エリア内では、大手コンビニ3社の店舗数を超えるポートの設置が完了しているという。
3月4日には、道路交通法の改正案が閣議決定された。同案は、電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」という新区分に位置付け、国会で成立すれば、16歳以上が免許なしで乗れるようになる(現在、免許保有者のみが利用可能)。