ビジネス

2022.04.19

シリコンバレー発、「出来たてラーメン」のスマート自販機が東京上陸

芝浦パーキングエリアに常設されているヨーカイ エクスプレスの自販機


スマート自販機は調理・冷凍済みの料理を熱処理により急速解凍して提供する工程を担うが、同社が「ステップクッキング」と呼ぶ調理の手順では、食品の下ごしらえの段階から顧客の手に届くところまで、すべてを計算に入れたうえでプログラムを細かく設定できる。

食品を提供する前後には毎度、自動クリーニングとして自販機内部の熱消毒を行う。人間によるオペレーションやメンテナンスを介することなく、いつも清潔な状態で調理する機械とした。

また衛生管理の面では、購入時に現金や機械に直接触れなくても支払いができるように決算手段をキャッシュレスに限定。支払いにはクレジットカードのほか交通系ICカード、電子マネー、QR決済が使える。

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メニューや設置場所を精力的に拡大し続ける


最先端のスマートテクノロジーを駆使した新しい食品や調理法を開発したり、食品の提供方法を革新するフードテックのビジネスにはいま多く関心の目が向けられている。リン氏は同社のスマート自動販売機の「強み」を以下のように話している。

「特に調理方法が難しい麺料理を提供できるスマート自動販売機を手がけるライバルは、ほかにいないと自負しています。当社が掲げるステップクッキングの調理プロセスを用いることで、ラーメン以外にもフォーやウドン、ビーフンなども幅広い種類の麺を美味しく調理したり、調理方法に様々な変化を加えることもできます」

ステップクッキングにより対応可能な料理のバラエティは、現在のスマート自販機に搭載するアルゴリズムの拡張を図ることにより拡大できるという。様々な調理メニューへの対応を進めながら、今後はサービスを展開する地域を欧州、台湾、韓国などにも広げたいとリン氏は展望を語った。

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4月には都内でプレスイベントが開催されパートナー企業も列席。インバウンド回復に合わせて、スマート自販機を各施設の新しい名物に育てていきたいとコメントした。

「当社がターゲットに見据える顧客は“食べることを必要としている全ての人々”です。日本では交通各社様との連携からスタートしましたが、今後は病院に勤めるエッセンシャルワーカーの方々に24時間温かい食品を提供するスマート自販機の魅力をお伝えしたいと考えています。米国と同様にホテルや企業、大学などからも引き合いが得られると見ています」

日本では24時間営業のコンビニエンスストアが全国に広く展開している。ヨーカイ エクスプレスにとっては最大のライバルだ。スマート自動販売機がコンビニとの競争に立ち向かうためには、オリジナルメニューを拡充するだけでなく、テイクアウト袋の準備やゴミになる容器の回収も含めて、利用者が心地よく食べられる環境をパートナーと一緒につくる工夫も欠かせなくなるだろう。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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文・写真=山本 敦

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