英石油大手シェルは7日、2022年第1四半期のロシア事業撤退による損失は最大50億ドル(約6200億円)に上ると発表した。同社は同国の国営ガス会社ガスプロムが主導する合弁会社から撤退するほか、ロシアからドイツに天然ガスを運ぶパイプライン事業「ノルドストリーム2」への関与も終了すると表明していた。
シェルと競合する英BPも、ロシア石油大手ロスネフチの株式20%近くを手放すと発表。それに伴う損失は最大250億ドル(約3兆1000億円)に上るとした。
米エネルギー大手エクソンモービルは、ロシア事業撤退により、2021年末時点で約40億ドル(約5000億円)と推定される資産を手放す。ノルウェーの石油・ガス大手エクイノールは、12億ドル(約1500億円)の対ロシア投資を放棄する。
ウォール街のアナリストや投資家は、厳しい制裁を受けるロシアからの西側企業の撤退が及ぼす影響について、今も見極めている段階だ。ただ短期的には、エネルギー大手が被る損失は、原油とガスの価格高騰によって一部が相殺されるだろう。新型コロナウイルスの流行による低調から回復を遂げたエネルギー分野には、著名投資家ウォーレン・バフェットも新たに大口投資を行っている。