経済・社会

2022.04.08 07:00

前世紀初めの水準に回帰、米国で加速する「1%」への富集中


富める者が豊かになれば低所得者にも恩恵がしたたり落ちるという「トリクルダウン」論への信奉はジョージ・W・ブッシュ政権のもとでさらに強まり、限界税率は40%から35%に下がる。ドナルド・トランプ大統領もまたこうした考え方に立ち、すでに国通貨基金(IMF)などから反駁されていたにもかかわらず、限界税率を約40%から37%に引き下げた。

米国で超富裕層が保有する富の割合は2014年時点で、OECDがまとめたデータでもっとも古い1913年の45%に迫っている。ここ数年、超富裕層の富はこれまで以上のペースで拡大しており、セントルイス地区連銀によると新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で1%が保有する富の比率は数ポイント押し上げられた。

ナイト・フランクの調査によれば、米国で所得上位1%にあたるのは純資産が440万ドル(約5億4000万円)以上の人で、バイデンの課税案の対象者はその一部、上位0.01%ということになる。税収の増加の大半はその中でもさらに最上位の人がもたらすと見込まれており、ホワイトハウスによると1兆ドル規模の税収増の半分は純資産が10億ドル以上の人の納税分になるという。

編集=木内涼子

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