2020年以降、COVID-19の感染拡大の影響を受け、世界中の事業環境や企業活動が大きく変化した。株価暴落や外出制限による事業停滞により打撃を受け、事業戦略や従業員の働きかたの見直しを迫られた企業やスタートアップは少なくない。「B2B Summit 2022」ではこの3年間における大きな時代の変化を、複数の角度から登壇者と共に紐解いていく。
ゲストスピーカーとして集まるのは、日本やアメリカのB2Bスタートアップ起業家と同領域へ投資を行うグローバル投資家たちだ。
セッション1では、海外投資家から見た、日本やアジアのB2Bスタートアップへの投資についてのディスカッションし、続くセッション2では、実際にDNXが投資を行った日本のB2Bスタートアップの、その後の展開について紹介していく。セッション3では、マルチ・ハイブリッドの局面にあるクラウドへの移行にテーマを絞り、セッション4では、地球環境保全に取り組む海外スタートアップの事例を紹介する。最後のセッション5では、DNXとボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)で、今後の日本のスタートアップの、M&Aエグジットをも視野に入れたあるべき姿を模索する。
B2B領域における重要な各トピックをピックアップし、ディスカッションを通じて日本のスタートアップ&テックトレンドを読み解くヒントを探っていく「B2B Summit 2022」は、B2B業界の最新トレンド、そしてB2Bスタートアップの現在地を知る絶好の機会となるはずだ。
また、本イベントはいまの時代にあるべき新しいイベントのあり方を模索し、リアルイベントを、オンライン中継しハイブリッド型で開催。イベント会場へはセレクティブに250名を招待し、オンラインでの同時配信を行い人数・場所の制限を超えた「オープンなイベント」を目指す。
世界中のトップランナーたちとともに、コロナ禍以降の最新動向を紐解く、5つのプログラム。
セッション1
グローバル機関投資家と語る、日本のスタートアップに期待すること
【セッションの内容】
ここ数年、日本のスタートアップが特にグロースステージで海外機関投資家から資金調達を行うケースが増えている。こうした傾向について、海外機関投資家を招き、世界中の投資家が日本のスタートアップに注目する理由について聞いていく。KKRは積極的にスタートアップ投資を行っているグロースインベスター。今回は日本のマクロ環境を把握するうえで、グローバル、特にアジアマーケットを長年見てきた、同社のMukul Chawlaを招く。※通訳あり
【モデレーター・髙岡美緒からのコメント】
「スタートアップのみなさんのなかには『海外機関投資家に入ってもらいたいけど、投資家が何を考えているのか“謎”が多い』と感じている人も多いはず。そんな方のために『投資案件を判断するとき、何を見ているのか』というポイントについて、ゲストスピーカーにお話を聞いていきたいと思います。また、日本の調達環境についてより理解を深めるため、アメリカ・欧州・日本という先進3地域の比較、そして日本とアジア諸国の比較の2軸でディスカッションを行っていきます」
【登壇者プロフィール】
Mukul Chawla◎2021年にパートナー兼アジア太平洋地域グロース・エクイティ部門長としてKKRへ入社、Intapp Inc.の取締役も務める。KKR入社前は、Temasekのマネージング・ディレクター、テクノロジー・メディア・テレコム部門の共同責任者、北米部門の共同責任者、投資・経営委員会のメンバーを歴任。10年から21年にかけて、同社のグローバル・テクノロジーおよび北米フランチャイズを構築、最終的に同社グローバル・ポートフォリオの30%以上の価値創出に貢献し、39件のテクノロジー・バイアウトおよび成長投資を主導、11社の取締役を務めた。それ以前は、ウォーバーグ・ピンカスやシスコシステムズの米国連邦通信委員会に勤務。ペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBA、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校でコンピュータサイエンスの修士号、ビルラ工科大学ピラニ校で学士号を取得。
髙岡 美緒◎ケンブリッジ大学自然科学部物理学科卒業。ゴールドマン・サックス証券に入社し、モルガン・スタンレー証券(現モルガンスタンレーMUFG証券)、マネックスグループ執行役員新事業企画室長及びマネックスベンチャーズ取締役にて戦略的M&A、新規事業開発、CVC立ち上げ・運営を担当。アジア最大のフィンテックVCのArbor Venturesのパートナーに就任及びメディカルノート取締役CFOを経て現職。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」委員、自民党金融調査会「フィンテックに関してのヒアリング」講師、2016年サマーダボス会議を含むさまざまな国内外のイベントに登壇し、審査員も務めた。
セッション2
B2B SaaSエマージングリーダー 彼らの見る「セカイ」
【セッションの内容】
アーリーステージのB2B SaaSスタートアップへの投資に注力してきたDNXの現ファンドで、最も成長率の高い3社が集結。DNXが2020年以降投資を実行したこの3社は、いずれもシリーズA〜Bのアーリーステージのスタートアップである。新しいトレンドを捉え、確実に事業を成長させてきた3社が注力する「組織づくり」や「事業展開」など、経営の領域について聞く。さらに、世の中からの期待と大きなニーズ受けて進める「世界戦略」や「マルチプロダクト戦略」についてのビジョンを読み解いていく。
【モデレーター・倉林 陽からのコメント】
「3名ともDNXの投資先のなかでもチャーミングで優れた投資先経営者です。どのように創業し、その後『組織』をどうつくってきたかについて詳しくお聞きしていきます。また、これまでSaaSの議論で抜けがちだった『マルチプロダクト戦略』についても、昨今重要性が増していると考えており、今回掘り下げて話を聞いていきたいと思います。3社共通のテーマである『グロース』について、そして、アメリカへの展開を予定しているコミューンにはその点についても深掘りしていきます」
【登壇者プロフィール】
橋本 翔太◎東京大学経済学部卒業後、Google Japanに入社。2017年にGoogle米国本社に転籍し、プロダクトマーケティングに従事した後、コミューンを共同創業。取締役CPOとしてプロダクト開発を管掌。22年より取締役 Head of Japan としてcommmune日本事業を統括。
永井 元治◎慶應義塾大学法学部法律学科卒業。米系戦略コンサルのベイン・アンド・カンパニーにて、大手通信キャリアの戦略立案・投資ファンドのデューデリジェンス・商社のM&A案件などに従事したのち、2018年にFLUXを創業。
渡慶次 道隆◎東京大学工学部卒業後、JPMorganを経て三井物産に転職。ICT事業本部にてエネルギー関連のベンチャー投資、新規事業開発を手がける。2018年にA.L.I.Technologies参画し、電力分野におけるコンサルティング、ブロックチェーンを活用したソフトウェア開発事業、GHG排出量算定・可視化クラウドサービスの開発を統括。21年、同事業をMBOし、ゼロボードを創業。
倉林 陽◎同志社大学博士(学術)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営大学院(MBA)修了、東京大学エグゼクティブマネジメントプログラム修了。Salesforce Ventures、Globespan Capital Partnersで日本代表を歴任。三井物産および富士通にて、東京とシリコンバレーで日米のB2Bベンチャー企業への投資、および投資先の事業開発に従事。2015年にDNX Venturesに参画し、現在はDNXの日本側の投資を統括。現在、Managing Partner and Head of Japanを務める。数多くの国内SaaSベンチャー企業に対し、主にアーリーステージからリードインベスターとして投資し、社外取締役という立場から成長を支援している。著書に「コーポレートベンチャーキャピタルの実務」(中央経済社)がある。
セッション3
マルチ・ハイブリッドが進む今 最新版「クラウドとの付き合い方」
【セッションの内容】
ここ数年、デジタル化/DXや、パンデミック、クラウドスキル・ノウハウの向上などを背景に、Global 2000企業やFortune 500企業のクラウドへの移行が急速に進んでいる。一方で、クラウドへ移行をしようと考える多くの企業・組織が直面しているのは、クラウドコストについてコントロールも予測も難しいという現状だ。同じ悩みにぶつかるであろうすべての企業に、クラウドと付き合ううえでの勘所を示していく。ゲストスピーカーのCloudNatix CEO兼創設者であるRohit Sethは、初期のコンテナとバーチャルマシンからGoogleをコンテナ化し、世界中の組織がコンテナ化とマルチクラウド展開をコントロールできるようにするまでの豊富な経験と見識を有している。※通訳あり
【モデレーター・Eva Nahariからのコメント】
「私は長年クラウド領域でキャリアを重ね、クラウドの重要性を実感してきました。また、クラウドの活用に比例して暴走するクラウドコストに対処してきた経験もあります。開発者の柔軟性と速度を確保しながら、同時に現実的で予測可能なクラウドコストを実現することが、いかに難しく不可能であったかも知っているのが強みです。今回、組織が抱える成長痛への対処について、発表できることを楽しみにしています」
【登壇者プロフィール】
Rohit Seth◎Googleにて11年間、コアデータセンターインフラストラクチャとディスプレイ広告の大規模なチームを率いるリーダーとして、Linuxコンテナの発明などデータセンター最適化のコア技術をGoogle全体へ展開。またIntel Corporationの Principal Engineer として、Linux 及び Unix のエコシステムにおける Intel プラットフォーム関連技術の推進を9年間担当。コンピューターアーキテクチャと仮想化技術で複数の特許取得。2019年1月にCloudNatixを設立。
Eva Nahari◎スウェーデン、ストックホルム出身。Clouderaにて9年間、プロダクト開発、市場投入戦略の構築、事業拡大に携わる。2018年より2年間、エンジェル投資家として活動するとともに、北欧スタートアップの市場参入を世界各地でサポートする北欧5カ国連携のプラットフォーム、シリコンバレーのNordic Innovation Houseのスタートアップメンターとしても活躍。DNXではSaaS、クラウド、機械学習対応エンタープライズソフトウェア、DevOps等、ITの企業導入方法に革命をもたらす画期的な企業への投資に注力している。AI、機械学習、自律システムに焦点を当てたコンピュータサイエンスの修士号を取得。民間・政府機関の顧客にディープテックを提供してきた15年以上の経験を積み、その間に複数の技術特許も取得。
セッション4
ICEYEと考える環境配慮と炭素削減の取り組み
【セッションについて】
気候変動は環境破壊を引き起こし続け、その悪化とともに危険な気象現象と災害がより頻繁に、より深刻に起こっている。ICEYEのテクノロジーによって、このような事象が与える影響、被害をどのように軽減できるのかを紹介する。さらに、地球上のあらゆる地点の正確なデータを検証できる同社のレーダー衛星群を、企業のCO2削減の取り組みの透明性と説明責任向上にどのように活用しているか聞きながら、ESGとりわけ環境問題へのスタートアップのアプローチに注目する。
ICEYEはテクノロジーの開発提供だけではなく、常に課題解決を念頭に「テクノロジー」と「宇宙」を活用することを考えているチーム。5年足らずの間に、宇宙に何もなかった状態から、地球の写真を常に撮影できる15基以上の衛星コンステレーションを構築。何十年も前から業界の著名なプレーヤーが挑戦して実現できなかったことに成功したことで注目されている。※通訳あり
【モデレーター・Q Motiwalaからのコメント】
「ICEYEの経営陣たちは、環境について常に深く考えています。『世の中にどんな付加価値を提供し貢献できるか』というのが彼らの原動力。このセッションでは、いま、ICEYEがどのようなことを考え、ESGや環境問題に向き合っているのかを引き出したいと思っています。日本はさまざまな自然災害のリスクにさらされていますが、日本人は思いやりがあり、日本には回復力があるため、ESGの文脈で世界を語るうえで、現在最も重要な国のひとつだと思います」
【登壇者プロフィール】
Nathan Uhlenbrock◎20年にわたり、地理空間と高度な分析を駆使した拡張性のあるソリューションを構築、民間企業および政府のデータドリブンな意思決定とデジタル変革を推進してきた。現在は、ICEYEのソリューションビジネスの製品責任者を務め、ICEYE独自の合成開口レーダー(SAR)衛星群を活用した付加価値の高いソリューションの構築を担当。保険業界や政府向けに自然災害のモニタリングに重点を置きサービスを提供。ICEYE以前は米国政府やMcKinsey & Companyにて勤務。
Q Motiwala◎ムンバイ大学卒業後、バージニアテック大学で電気工学修士号取得、UCLAロサンゼルス校にてMBAを取得。1994年にQualcommに入社。その後11年間にわたり、韓国、日本、米国での新規事業の立ち上げなどの業務に携わる。ワイヤレス、セミコンダクター技術に関する5つの特許をもつ。DNXでは、ハードテック(ハードウェアテック)・ディープサイエンス分野への投資に強く、現在、Nauto(自動運転)、ICEYE(超小型衛星SAR)、Movandi(5G)、Diligent Robotics(ナース補助ロボット)において社外取締役を務める。また、子ども向けライドシェアアプリのZum(ズーム)への投資も担当。
セッション5
海外に学ぶ事業会社コーポレートディベロップメントのあり姿
【セッションの内容】
米国では数多くのスタートアップが立ち上がり、資金調達額も3兆ドル(日本の約4倍)を超えている。日本もこれを追うようにこの10年、数々のB2Bスタートアップが立ち上がってきた。一方、いまだに大きな差となっているのは、米国では9割以上がM&Aエグジットを果たしているということ。裏返せば多くの事業会社がスタートアップのM&Aを通じて、事業やサービスを増強しコーポレートディベロップメント(Corp Dev.)を実現しているということだ。今回は、BCGとともに議論・リサーチを行ってきた海外のCorp Dev.事例を紹介しながら、B2Bスタートアップのあるべき姿を考えていく。
【登壇者プロィール】
平井 陽一朗◎大学卒業後、三菱商事にてコロンビア初のメンテナンスリース会社(Surenting SA社)の設立や、NTTドコモのi-mode Europe出向中は海外アライアンスやグローバルブランディングを推進。ウォルト・ディズニー・ジャパンではメディアの事業開発責任として新規事業を指揮。その後、オリコンやザッパラスなどの上場企業のCEOやCOOを歴任、BCGにおいても2016年、BCGデジタルベンチャーズ東京センター開設後はマネージング・ディレクター&パートナーおよびジャパンヘッドとして、21年からはアジア・パシフィック地区のヘッドとして、新規事業アイデアの創出、新規事業の出資を含めた立上げなどを指揮している。同社の出資するデジタル系合弁会社数社の社外取締役を兼務。
加来 一郎◎慶応義塾大学経済学部卒業後、住友商事、外資系コンサルティングファーム、PEファンドを経てBCGに入社。事業会社とPEファンドに対して戦略策定・買収プロセス・買収後の価値創成を約20年間支援している。現在、BCGプライベートエクイティ・グループのアジアパシフィック地区リーダー、同コーポレートファイナンス&ストラテジー・グループのコアメンバー。
大久保 亮◎国際基督教大学(ICU)卒業後、キヤノンへ入社。海外エンタープライズ顧客事業のプロジェクトマネージメント業務を経験後、経営企画にて全社中期計画策定等の社内プロジェクト統括に加え、グローバルM&AのPMIや新規事業創出などの事業開発に10年間従事。その間に、シリコンバレーのスタートアップと数多く接するなかで、スタートアップのスピード感に魅了され、直近ではカケハシにてSaaS事業のマーケティングを経験。2020年6月よりDNX Ventures 日本オフィスに参画。
各社の今後の一手を考えるきっかけとなるサミットに
主催者であるDNXはこのイベントの開催意義について「変化が早く今後の展開が不透明なこの時代にこそ、あらためてシリコンバレーと東京のB2Bビジネスの最新動向を紹介する本サミットが提供できる価値・示せる指針がある。現にこれまでの前提が覆るような現在の環境下で、スタートアップ発のさまざまな革新的技術・サービス・プロダクトが活用される事例が、すでに出てきています」と、語っている。
企業の新規事業創出に関わる人や、スタートアップ経営者にとってヒントとなる内容が盛りだくさんの本イベント。変化や革新が求められるいま、このサミットを通じて今後の一手を考えるきっかけにしたい。
【開催概要】
日時:2022年5月25日(水) 12:30開場、13:00開演、19:00終了
会場:品川インターシティホール
主催:DNX Ventures
協賛:日鉄興和不動産、Google Cloud Japan
お申し込み先:https://peatix.com/event/3208486
イベント公式サイト:https://www.b2bsummit.biz/jp
【問い合わせ先】
DNX Ventures
担当:上野なつみ
Email: event@dnx.vc
【DNX Venturesについて】
2011年よりシリコンバレーと東京に拠点を構え、日米市場を中心にB2Bスタートアップへの投資を行っているベンチャーキャピタルファンド。日米を中心に100社以上のスタートアップ企業へ投資を実行、16社をエグジットに導いた。また、事業開発・スタートアップとの協業を目指す事業会社を対象に、200件を超える日本企業のスタートアップとのパートナーシップや協業支援といった形で、豊富な実績を残している。
https://www.dnx.vc/jp