ビジネス

2022.04.03

「デジタルヘルス」に賭けるフィリップス、その勝算は

Photo by Vithun Khamsong / Getty Images


注目すべきは、フィリップスがこの包括的なミッションのために素晴らしい製品群を用意していることだ。一例を挙げれば、ポータブル超音波診断装置「Lumify」は遠隔サポート機能も備え、リアルタイムでの診療支援などに大きな可能性を秘めた製品となっている。

同社は関係者らが臨床情報などをやりとりできる「Interoperability Solutions」と呼ぶシステムも開発しており、患者管理・データインフラと合わせて堅牢なデジタルヘルス・エコシステムを構築している。

もちろん、こうした取り組みをしているのはフィリップスだけではない。現在、「デジタルヘルス」は医療業界のバズワードとなっており、この分野には他社も力を入れている。

たとえば、新興超音波診断装置メーカーの米バタフライ・ネットワークも、デジタルヘルス・エコシステムへのシームレスな統合に取り組んでいる一社だ。同社は先月に新規株式公開(IPO)を果たし、約15億ドル(約1800億円)の評価額を得ている。

また、最近書いたとおり、IT大手の米オラクルも次のフロンティアとして医療に熱い視線を注いでいる。オラクルはすでに多くの大手医療機関にクラウドサービスを提供しており、今後、有望な製品を相次いで投入していく見通しだ。

このほか、米マイクロソフトやアマゾン、ウォルマートといった企業も、革新的なデジタルヘルスソリューションを重視し、医療分野に進出してきていることも忘れてはならない。これらの企業はブランド認知度がきわめて高いため、他社に比べて製品が消費者らに非常に受け入れられやすいという強みがある。

たしかに、デジタルヘルスはまだまだ長い道のりを控えた分野だ。ただ、フィリップスをはじめ各社がこぞって力を入れているのは、その前途が有望であることを示していると言えそうだ。

編集=江戸伸禎

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