運用総額10兆ドルのブラックロックを率いるフィンクは、ロシアのウクライナ侵攻が、「過去30年間にわたり続いたグローバリゼーションに終止符を打つことになった」と述べた。さらに、この戦争が冷戦の終結以来続いてきた世界秩序を根底から覆しただけでなく、「世界の二極化を悪化させた」と述べている。
脱グローバル化がインフレをさらに押し上げ、中央銀行は物価上昇か経済活動の低下かの厳しい選択を迫られるため、この戦争は長期的に多くの経済的影響を及ぼすとフィンクは警告している。
さらに、これまで暗号通貨には懐疑的だったフィンクは、ロシアの侵攻による大混乱が暗号通貨を後押しする可能性があると述べた。「緻密に設計されたデジタル決済システムは、マネーロンダリングや詐欺のリスクを軽減しつつ、国をまたぐ決済を強化することができる」と彼は指摘した。
「ロシアの動きは、今後数十年にわたる影響を及ぼし、地政学やマクロ経済、資本市場の世界秩序の転換点となるだろう」とフィンクは述べている。
もう一人のウォール街の有力投資家であるオークツリー・キャピタルのハワード・マークス共同会長も、23日の株主宛ての書簡の中で、同様の懸念を示している。ロシアが世界経済から切り離される中、ヨーロッパがロシアのエネルギーに大きく依存し、米国がコンピューターチップの製造をアウトソースする必要に直面するため、さらなる制裁が「非常に複雑な問題」を抱えているとマークスは警告した。こうしたグローバル化の負の側面は、今や「現地調達に振り子を戻させた」と彼は指摘している。
紛争をめぐる不確実性が続く中、株式市場には動揺が広がり、年初からの下げ幅はS&P500が約7%、ダウは約6%、ハイテク銘柄が多いナスダックは約12%となっている。