執筆者以外の複数の医師達が、掲載内容を査読する厳しいチェック機能
では、実際、どれだけ信頼するに値するメディアであるのだろうか? という問いに「名の知れた医師が発信する言葉が最も信頼できるように思われてしまいますが、実は、科学的な信頼性から言えば、ひとりの医師が話した内容は、最も信頼性が低く、対象がランダム化された比較研究の結果が、一番信頼性が高いエビデンスになります。以前は、5段階で表されてきたエビデンスも、現在は強さや弱さという表現が世界的なスタンダードになっています。科学的に信頼性の高いエビデンスを、いかにやさしく、わかりやすく発信するかが大切です」と、勝俣。
そこで、Lumedia(ルメディア)で記事を掲載する場合、専門家による複数のチェック機構を厳しく設ける事で、信頼出来る情報ソースとして世の中に発信するシステムだ。「サイエンスやエビデンスは、日々どんどん変わっていきます。昨日のエビデンスは今日のエビデンスでない事も多々あるからこそ、私達のチェック機構には自信を持っています」と語る「やさひふ」の言葉には説得力が窺える。
つまり、これまでは、信頼出来る医療情報は、国家認定されたごくわずかであったのが、このLumedia(ルメディア)の出現で、日々アップデートしている医療に携わる現役医師&医学生達が、しっかり精査して、最新の医療情報が正しく発信されるというしくみだ。
クラウドファンディングで800万円調達したファーストステップ
運営に携わる医学生の海老名は、この春、医師国家試験に合格。「正しく分かりやすい情報、つまりやさしい情報にこだわると共に、より多くの人に届けるための戦略まで徹底していきたい」と意欲的。
実際、サイト開設にあたって現在行われているクラウドファンディングでは、ファースト資金としてわずか開始1週間で800万円を集めた。その活動費は、サイト構築や有料論文の入手に加えて、アシスタント医学生の人件費にも充てられる。
「医療系団体の活動は、その多くがボランティアで行われてきたが、責任をもって優秀なメンバーに仕事をしてもらうために、しっかりと給与を支払いながらも持続的な組織運営を目指したい」と海老名。医学生を起用する裏テーマには、「将来を託せる優秀な医師の予備軍として、医学生を育てたい」という、次世代医療の足掛かりとしての視点も含まれている。
とはいえ、スタートアップしたばかりのLumedia(ルメディア)のライター医師達は、ギャランティが発生しない手弁当で現在活動している。将来的には、記事をつくる医師にも相応の報酬を支払うことで、適切な情報の発信が医師たちにとってもプラスになるような仕組みを作ることも目標だ。こういった持続可能な仕組みとそれを実現する組織づくりのために2500万円の調達を目指している。
海老名洸太朗(東京医科歯科大学 医学生)