ビジネス

2022.03.23

ハワード・シュルツのCEO暫定復帰、スタバの失態を露呈

Getty Images

スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)が来月退任し、秋までに後任者を探す間、前任者のハワード・シュルツが暫定CEOとして復帰することが決まった。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、同社のメロディ・ホブソン取締役会会長は、ジョンソンの退任は本人が決めたことであり、取締役会や外部からの圧力によるものではないと説明している。

ホブソンは今回の人事について、計画的なものであり、「性急なものでは一切ない」と述べている。だが本当にそうだろうか。

スターバックスの株価は過去1年で約24%下がっている。同社は賃金やトレーニング、原料などのコスト増加に直面。社内では労働組合結成の動きも勢いを得ている。

今回の人事について危険信号と言える点は、CEO後継者の準備ができていなかったことだ。米ABCテレビによると、米ノートルダム大学メンドーザ・カレッジ・オブ・ビジネスのティモシー・ハバード助教(経営学)は「1年以内に後継者を見つけられなかったことは興味深い」と述べた。「スターバックスほどの規模と地位の企業に確固としたサクセッションプラン(後継者育成計画)がないのは驚きだ」

同社はその理由として、最高執行責任者(COO)を務めていたが昨年2月にウォルグリーンに引き抜かれたロズ・ブルーワーが次のCEOになるはずだったと主張できるかもしれない。または、企業幹部探しを担う企業ラッセル・レイノルズが予想より長い時間がかかっているのだとも言えるだろう。

しかしどんな言い訳をするにせよ、スターバックスには準備ができておらず、暫定CEOの地位を設けなければならなかったことには変わりがない。

暫定役員を設けることが必ずしも悪いわけではない。本人の経験のためや、後継者の教育のため、暫定職に誰かを任命することが良い場合もある。また、2段階の移行プロセスの一環として暫定リーダーを任命する場合もある。

しかし今回のケースはそうではなく、スターバックスが後継者育成や緊急時計画で失敗した結果だ。

昔の米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、後継者育成計画で有名だった。ジャック・ウェルチCEOの任期が終わりに近づいていたとき、後任候補は3人いた。最終的にはジェフ・イメルトがCEOを継承。ボブ・ナルデリとジム・マクナーニーは他社でCEOに就任した。

一方、ジョンソンの後任に候補が1人しかいないことはスターバックスの失態だ。CEOの継承は取締役会の責務の中でも特に重要なものの一つであり、同社はそれに失敗したのだ。

編集=遠藤宗生

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