経済・社会

2022.03.19 10:00

ウクライナ難民、隣国以外の「コロナ規制」に困惑


難民受け入れに関する各国の対応


ウクライナにおける危機は、欧州各国が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために導入していた規制を緩和・撤廃する一方で、感染者と入院者数、死者数が過去最多に近づく、または更新するなかで発生した。

イギリス・オックスフォード大学の研究者らが運営するウェブサイト、「アワ・ワールド・イン・データ」によると、新規感染者数はドイツ、オーストリアで過去最多を上回る勢いとなっているほか、フランス、英国、アイルランド、スイス、フィンランド、イタリアの各国でも増加が続いている。

ウクライナと国境を接する各国が流入する難民に対し、新型コロナウイルスに関する規制を緩和しているとみられる一方で、欧州のその他の地域や北米に向かった人たちの多くは、さまざまな障害に直面している。

ドイツのシュトゥットガルトでは、ワクチンの接種状況を証明する書類を携帯していなかったことを理由に数十人が、ホテルへの入店を拒否された。

イタリアではマリオ・ドラギ首相が、「公共交通機関やホテルを利用するためには接種証明書を提示するか、検査料を払って48時間ごとに検査を受ける必要がある」と発言したことが、接種記録を示すことができないウクライナ人たちを困惑させている。

難民を「無制限で」受け入れると約束したカナダは、ワクチン未接種のウクライナ人にも入国と滞在を認める方針だが、カナダに向かう旅客機に搭乗する前の検査と、到着後の一定期間の隔離を義務付けている。

また、米国ではウクライナからの難民でも、南側の国境からの入国が認められていない。トランプ政権時代に導入された公衆衛生に関する移民規則に基づくもので、バイデン大統領の就任後も、変更がなされていないためだ。

編集=木内涼子

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