リモート授業や学校行事の中止など不自由もあったなかで、彼らはどのような“青春”を送ったのだろう。はるやま商事が2月に高校3年生を対象に行った調査では、「イメージ通りの青春ではなかった」という回答が、85%にものぼった。
ただ、「大切な思い出がある」と答えた人は96%を超え、「マスクをデコって楽しんだ」「体育祭が中止になったから手作りグッズをつくった」「時差登校で手紙交換をした」など、コロナ禍ならではの“青春”を楽しんだエピソードも寄せられた。
同社はこの調査をもとに、現役大学生の映画監督・松本花奈とともにショートムービー「ワタシたちだけの青春Vlog」を制作。TikTokで190万回以上再生され、話題になっている。
スーツは自分で選びたい?
このショートムービーは、はるやま商事のフレッシャーズキャンペーンの一環。大学の入学式や就職などで「スーツデビュー」をする人が増えるこの時期に毎年行っているプロモーションだ。
ただ今回は、ターゲットを保護者世代から当事者である高校生に変更。同社営業本部長の神瀬桂は「若年層の感度の高まりやこだわりの変化が生まれていて、『自分で選びたい』というケースが増えてきているので」と話す。
そこで、高校生にとって親しみがあり拡散力の高いプラットフォームであるTikTokでの訴求をメインに、企画を考えた。脚本と監督は「この世代の子たちの持つ空気感や目線をうまくつくってくださる方」と評価する松本監督に依頼。楽曲も、中高生からの支持が熱いバンド「Mr.ふぉるて」に書き下ろしをお願いした。
代替できない“特別な”3年間
動画制作にあたっては、アンケート調査以外にも、実際に卒業生約200人に「思い出」に関するインタビューを行った。その回答の一部が以下である。
松本監督は、この結果を踏まえて脚本を制作。“ワタシたちだけの”をキーワードに、高校生たちのリアルな声を生かしたVlogにまとめた。
「調査結果やインタビューの結果を振り返ったときに、大半の方が大切な思い出が“ある”と答えてくださったことが、私にとっては予想外で、印象的でした。ですので、動画を見た学生の皆さんに前向きな想いを感じていただけるよう、代替できない特別な3年間の思い出を、ポジティブに描くことを意識しました」(松本)