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2022.03.21 11:00

NYタイムズで優秀商品を受賞「生理の貧困」を救う吸水ショーツ

エチオピアでボランティア活動をするジョイ・ベク代表(右)


ファッション性も重視


韓国で生まれたベクは13歳で米国に留学した後に定住し、米国籍を取得した。大学を卒業後はウォール街で会計士として活動し、その後、香港企業に勤務した。
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「決して安くはない報酬を得ていましたが、それだけでは充実した人生を送っているとは言えませんでした。自分のためだけでなく、世界中の人々の助けになる活動をしたいという思いから、2019年に退職し、途上国支援のために起業しました」

当初は何年にもわたって繰り返し使われる教科書を保護する防水カバーの支援からスタートしたが、エチオピアでは教科書すら行きわたっていない人々がいることを知った。

「生理など生活の根本レベルを改善する支援が急務であることを知りました」
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製品開発のためのテストでは成人女性だけでなく、少女たちへの支援を念頭に自身の12歳の娘にも協力してもらった。既存の吸水ショーツは「おむつのようで格好が悪い」という指摘が多くなされてきた。同社のショーツは4枚の繊維を重ねた構造でタンポン6個分の吸収力があるが、薄くファッショナブルであることを追求し、また通気性をよくすることで、夏でも快適に使えるようにした。

日本を市場に選んだ理由


米国では2020年8月より販売を開始。21年9月には「ニューヨークタイムズ」が選ぶ「優秀商品」を受賞した。同紙記者が自ら18ブランド40種類の吸水ショーツを試した上で、機能、快適さ、見た目の点から商品を選んだ。日本では今年2月よりクラウドファンディング形式で販売を開始し、Amazonでの販売も予定している。


今年5月と10月にエチオピアへの寄付を予定している

現在、コロナ禍によりエチオピアへのアクセスが困難になっているが、韓国のキリスト教系の支援団体ハポコリア(HAPO KOREA)の協力を得て、今年5月と10月にショーツの寄付を予定している。ハポコリアは支援スタッフが現地に駐在しており、羊の飼育を通じて現地の人々の持続可能な自立を支援し、小学校の運営も行っている。

同時に使い方についてのトレーニングプログラムなども計画。エチオピアの家庭には洗濯機がないため、適切な手洗いの方法を指導する予定だ。
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Text by 金香清 KIM Hyang-chung

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