FOMCが示した2022年の利上げ見通しも、債券市場の見方にほぼ沿ったものとなっている。年内にさらに利上げを複数回行い、年末時点の政策金利は1.75〜2.5%になると見込まれている。ただ、この水準は下振れもしくは上振れする可能性もある。
たとえば、ある政策当局者(ブラードの可能性がある)は年末時点の政策金利を3%超と想定。一方で、1.5%と予想している当局者もいる。とはいえ、当局と市場の見通しに基づくと2022年に利上げが急ピッチで進むという一致した認識があるのは明らかだ。
FOMCは16日の声明のなかで、ロシアのウクライナ侵攻が米経済におよぼす影響について「きわめて不透明だが、短期的には物価上昇圧力をさらに高め、経済活動の重しになる可能性が高い」と言及した。FRBはいまのところ、インフレ対応を重視する姿勢を崩していない。
ウクライナでの戦争とそれにともなう制裁やサプライチェーン(供給網)の混乱によって商品価格がさらに上昇し、物価は一段と押し上げられると予想されている。
米国の2月の物価上昇率は7.9%を記録したが、FRBは2022年通年の物価上昇率は4.3%前後、食品とエネルギーを除くと4.1%ほどになるとの予想も示した。そのためには現在の高インフレが沈静化し、ウクライナ情勢に関連した物価上昇も短期間で終わることが必要になる。今回の予想値は昨年12月の数字に比べると大幅に上方修正されている。
政策金利は年内にさらに引き上げられていくだろうが、上げ幅がどれくらいになるのかなど不透明な部分もある。FRBや市場もまだはっきりしたことはわからないというのが実情だろう。