バンク・オブ・アメリカは毎月、合計1兆ドルを運用する約300人の投資家を対象に調査を実施している。それによると、世界経済の成長に対する期待は2008年のリーマンショック以来の低水準に落ち込み、投資家はますます弱気になっているという。
今年初めには沈静化したかに見えたインフレへの懸念が、3月には再び高まり、米国経済がスタグフレーションの影響を受けると予測する投資家の割合は、先月の2倍以上の60%を超えている。
インフレ率の急上昇とロシアのウクライナ侵攻による地政学的な不安から、今年の米国株式市場は調整局面に入り、ファンドマネージャーたちは、パンデミックの影響で経済が短期のリセッションに陥った2020年4月以来の水準に現金のポジションを増やしている。
プロの投資家の大半は、再び不況リスクが高まると見ており、60%が2022年の弱気相場を予測し、50%以上が高インフレが長引くと予想している。
歴史的にスタグフレーションの時期に市場はうまく機能しない。リチャード・ニクソン政権末期のスタグフレーションで、S&P500は1973年と1974年にそれぞれ約17%と30%の下落を記録していた。
しかし、株式調査大手のCFRAのチーフストラテジストのサム・ストバルは「投資家は感情に流されて意思決定をしないように注意する必要がある」と述べ、高品質で高配当の株式にはまだ多くの機会があると主張している。
ストバルは今回の弱気相場が比較的短期間で終わると予測している。「2年以上の弱気相場が続き、S&P500が50%近くも値下がりした1973年や1974年のようなシナリオにはならないだろう」と彼は述べている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、16日に2日間の政策会議を終えた後、2018年以来で初めて、0.25%の利上げを実施すると予想されている。多くの調査指標が「景気後退」の見通しを示しているものの、バンク・オブ・アメリカの調査によると、投資家は依然として年内に4回以上の利上げを予想している。
2022年の株式市場は、インフレとの戦いに加え、ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー価格の高騰の影響を受けて、荒れたスタートとなった。S&P500は調整局面に入り、年初の最高値から10%以上下落しており、ハイテク株比率の高いナスダックも昨年11月の高値から20%下落している。