ビジネス

2022.03.12

懐かしのRPG風味のメタバース「Gather Town」で大注目の20代起業家

(c)Gather


2020年5月までに、彼らはYコンビネータから与えられた15万ドルの資金を使い果たした。ワンとジャファーは、オンライン上の集まりをマネタイズすることを提案したが、タブリーズは反対した。その結果、二人は新たに知り合いのMITの卒業生であるアレックス・チェン(Alex Chen)とネイト・フォス(Nate Foss)を招き入れてGatherを立ち上げた。

その後、VR(仮想現実)に興味を持った4人は、自分たちの体をスキャンしてオンラインで物理的な環境を再現し、1日8時間、ヘッドセットを装着して仕事をしたという。「このとき、バーチャルワールドには巨大なポテンシャルが潜んでいることを実感しました」とワンは語る。

彼らは、キーボードとマウスという身近なツールでアクセス可能な、低解像度のピクセルアートで描かれた仮想空間をブラウザの中に構築した。2020年5月に最初のバージョンをリリースすると、瞬く間に大学で広まった。

シカゴ大学の教授と学生らは、Gatherの内部でキャンパスを再現し、物理学の教授たちはラウンジでポーカーをプレイするようになった。Gatherのポテンシャルにいち早く気づいたのは、評価額100億ドルのデザインツールのスタートアップ「Figma」の29歳の創業者のディラン・フィールドだった。

彼は、ワンたちがビジネスモデルを考え始める前の2020年11月に連絡をとったが、ワンの返事は、「このアイデアがビジネスになるのかどうか、ちょっと分からない」というものだったと、フィールドは振り返る。

フィールドはそれでも、ワンを数多くの投資家たちに引き合わせたが、彼の返事は相変わらず、つれないもので、Gatherが結局のところ、ウィキペディアのような非営利組織になるかもしれないと話していたという。

セコイア・キャピタルの提案


そんな中、セコイア・キャピタルのパートナーのショーン・マグワイアは、ワンの迷いの先にあるものを探り当てた。「Gatherの創業者たちにとって、メタバースは当たり前に存在するものでした。だったら、どうすればそれを可能な限りうまく実現できるのかを考えてみようと提案したのです」と、2021年1月にGatherの最初の2600万ドル資金調達をリードしたマグワイアは述べている。
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翻訳・編集=上田裕資

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