山場を迎える「札幌冬季オリンピック招致」、今度こそ押さえるべき是非のポイント

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札幌市は、招致を目指す2030年冬季五輪大会について、賛否などを市民と北海道民に問う意向調査を3月上旬から中旬にかけ実施した。公表された速報値では「賛成」または「どちらかと言えば賛成」と答えた人は郵送調査で52%、インターネット調査で57%、街頭調査で65%と何れも半数を超えた。この数字を高いと見るか、あるいは低いと見るか──。

2030年の大会には札幌市に加えて、スペインのカタルーニャとアラゴンが共催で立候補することに合意した他、過去に冬季五輪を開催したカナダのバンクーバーや米国のソルトレークシティーも招致に関心を示しており、近々、立候補都市の支持率が横並びで比較されることになる。

過去、特に社会主義国においては、支持率が8割から9割を超えた都市もあり、現在の支持率では心もとない。

実際、4月8〜10日に北海道新聞社が札幌市民を対象に行った世論調査では、「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた人は42%、「どちらかといえば反対」「反対」と答えた人が57%と反対意見が賛成意見を上回り、同じ日程で行った全道調査では賛成意見が51%、反対意見48%だったという。

IOC(国際オリンピック委員会)は言うまでもなく開催都市選定において支持率を重視しており、独自調査も行うと見られる。今後どこまで札幌市が熱意をもって、市民・道民を巻き込むことができるかが、最も重要な要素となる。

IOCのトーマス・バッハ会長と東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長
IOCのトーマス・バッハ会長と東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(Photo by Vincent Kalut / Photonews via Getty Images)

いつ、どう決まるのか?

このIOCによる開催都市選定プロセスにも注意が必要だ。

現在はIOCとの「継続的な対話」の段階にあり、今後IOC理事会で承認されれば、大会計画をもとに、IOCからの将来開催地質問状への回答や各種保証書の提出、開催都市契約の内容協議といった「狙いを定めた対話」に進み、IOC総会にて正式決定、とされているが不明な点も多い。

2022年度に決定されると見られているが、具体的な時期は何れも示されていない。

招致の経緯、意義は?


札幌市が招致を最初に表明したのは2014年のことだ。当初は2026年大会の招致を目指していたが、2018年に北海道胆振東部地震の影響、北海道新幹線の札幌延伸や札幌駅周辺の再開発の計画を踏まえ、2030年大会の招致に方針転換した経緯がある。

筆者は以前「2026年札幌冬季オリンピック・パラリンピック開催概要計画」の検討委員会で、委員長として計画案作成に携わった。
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編集=宇藤智子

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