そして、ウクライナ侵攻は多くの人が思っていた、あるいは期待していたよりも早く現実になった。トーマスグリーンフィールドによると、この難民危機により約500万人のウクライナ難民が生まれる可能性がある。この推定を、世界中で避難民の数を監視する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータと比べたところ、このような難民危機は世界最大規模の危機に発展する可能性がある。
UNHCRの計算によると2020年、他国で完全な法的地位を確保していなかったシリアの国際難民や庇護希望者の数は約680万人だった。国連の計算で2番目に数が多かったのはパレスチナ難民で、その後はベネズエラ危機により母国を去った人が続いた。どちらも約500万人規模で、悲惨な状況にある。
また、2020年に海外にいるアフガニスタン難民や庇護希望者は約280万人だった。2020年は、データが入手可能な最新の年だ。
こうした数が示すように、難民危機は突然起きるものではなく時間をかけて拡大するものだ。2013年は、シリア出身の避難民が約250万人で、スーダンや南スーダンを逃れた人の数は80万人強だった。
一方、パレスチナやアフガニスタンは長期的な紛争状況にあり、難民の数は過去10年で停滞している。最後に、ベネズエラの国家崩壊は難民危機が急速に発生する場合もあることを示している。UNHCRのデータによると、難民の状況にあるベネズエラ人は2013年、わずか約20万ほどだった。
ウクライナが国際社会に支援要請
トーマスグリーンフィールド大使は、子どもや高齢者を含む約300万人のウクライナ人が既に緊急支援や避難所、食料を必要としていると述べた。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は国際社会に対し、ロシアに侵攻をやめさせるため「積極的な外交、強力な政治的メッセージ、厳しい経済制裁」の断固とした行動を取るよう要請した。