今年の「フォーブス 日本長者番付上位50人」の番付中に、90代が3名、80代が8名入っている。これは、企業の創業者たちがほかの国のよりも長く自社に留まる傾向にあることを意味している。例えば、88歳で船井電機の取締役に再任された船井哲良(49位)や、人材派遣会社テンプスタッフの株価急騰により80歳で長者番付入りを果たした篠原欣子(46位)が挙げられる。また、オイルショックを乗り越えた1970代初めに生まれた富豪も何人かいる。
ところが、逆に存在感がまるでないのが、本来であれば、企業を立ち上げて巨額の富を手にしているはずの中年層、つまり日本が再興を果たした1960年代に生まれた世代だ。
この“消失世代”の中で異彩を放っているのが三木谷浩史(4位)である。50歳になった今年、彼の資産は36%も上昇した。日本最大のネット通販業「楽天」の会長である三木谷は、長年自社における若年層の活用とグローバル化に力を入れており、イノベーションを求めて海外に目を向けている(現在、日本とアメリカの両方で暮らしている)。それに、熟練したM&A推進者でもある。最近では、配車サービスアプリの「リフト」に3億ドル(約360億円)投資したのが記憶に新しい。
「公用語は英語」で国際化
ハーバード・ビジネス・スクールのMBAを持つ三木谷は、2012年から社内会議を英語で行うよう指示している(英語は社員証、エレベーターの各階案内、社内食堂のメニュー、および従業員向けウェブサイトでも使用されている)。
彼は、日本の企業は英語運用能力を欠いており、それが業績拡大を阻害していると考えている。さらに、日本の経済成長を高めるため、安倍晋三首相を補佐するハイテク企業団体「新経済連盟(JANE)」の代表理事としても獅子奮迅の働きをしている。三木谷は少数派である60年世代のために「新しい富豪像」を示せるかもしれない。