燃え尽き防止には、リフレッシュとゴールラインの設定が重要に

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エナジー・プロジェクト(The Energy Project)の創業者でCEOであるトニー・シュウォーツ(Tony Schwartz)は長年、企業経営者たちに対して、チームの士気を高め、より健全な勤務習慣をつくるためのアドバイスを提供してきた。

シュウォーツによれば、2003年の創業当時、燃え尽きやストレス、メンタルヘルスといった話題は、経営陣のあいだではタブーだったという(「会ってもらうことすら難しかった(中略)誰もエナジー(活力)の話をしたがらなかった」と同氏は述べる)。

だが、パンデミックが2年以上にわたって猛威を振るう今では、誰もが熱心に議論している。ストレスやメンタルヘルスといった、社員のエナジーを枯渇させる課題に対処する方法を見つけることが、ほとんどの経営者にとって最優先課題となっているのだ。

「我々は今、疲労、挫折、不安、不確実性に直面している。人々がこうした感情をもっていることが、大量離職のような現象の一因だ」と、シュウォーツはForbesの特集連載「スケールアップ(Scale Up)」の最新記事で語った。

「こうした組織は突如として、社員のニーズを満たすために何をするべきなのかという問いに、より良い答えを導き出す必要に迫られた」

シュウォーツは、経営者が社員に対して、職場の「リニューアルゾーン」で過ごす時間を提供することが重要だと語る。これは、単に休暇を与えるという意味ではない。

常に100%のパフォーマンスで仕事にあたるのではなく、仕事中にチームがリフレッシュとリセットの機会をもてるようにするのだ。

「ほとんどの組織は、”もっと多く、もっと大きく、もっと速く、もっと長く”を絶対的な指針としている」と、シュウォーツは言う。「そしてほとんどの社員は、この教えに従わなければ怠け者とみなされることを、身をもって知っている」

けれどもシュウォーツは、プロのアスリートがそうであるように、ビジネスパーソンにも仕事と休息のバランスが重要であることを、経営者は念頭におくべきだと主張する。

「最高のアスリートは、競技と休息の最適比率を見出す天賦の才をもっている。つまり、彼らはエナジーの回復と再充填を、エナジーの総量を増やすための重要なスキルと捉えているのだ」

シュウォーツによれば、人々にとって必要なことのひとつは、「仕事はマラソンである」という考え方から、「仕事は短距離レースの繰り返しだ」という考え方に切り替えることだ。

ほとんどの組織がマラソン的な考え方をとっている、とシュウォーツは指摘する。「長距離レースをしていて、ゴールラインは視界の外にある」

「(マラソンを走る人は、)エナジーを使い果たさないよう、エナジーを注意深く使うことを学ぶものだ。100%の全力を出すことはない。全力を出すとしたら、10分や30分、せいぜい1時間で倒れてしまうからだ」

翻訳=的場知之/ガリレオ

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