「自動車向け」ノイズキャンセリング技術とは
Bose Road Noise Control（以下：Bose RNC）は、BOSEがCES 2019に初出展した、自動車のためのノイズキャンセリング技術だ。自動車の走行中に路面からタイヤ、サスペンションを伝わって車室内に聞こえてくる「振動」に起因するノイズ成分を消すことを目的に開発された。
同社には長年に渡り、コンシューマー向けのノイズキャンセリング機能を持つヘッドホン・イヤホンを「QuietComfortシリーズ」として販売してきた実績がある。ボーズ・オートモーティブの技術部 マネージャーである高岡朗氏は、QuietComfortシリーズの開発により獲得された技術がBose RNCにも活きたと語る。
従来は自動車による走行時に路面から伝わるロードノイズを低減するため、主に車室内に吸音材や防振材などを組み込む手段が講じられてきた。これらはノイズの低減効果を生む代わりに、車体の重量アップ、およびハンドリング性能や燃費の低下を引き起こす原因にもなっていた。
Bose RNCではノイズキャンセリングヘッドホンのQuietComfortシリーズと同様に、電気的な処理によりノイズを打ち消す仕組みを車室内に応用している。
具体的には小型の高性能マイクにより、車室内に発生する路面振動に起因するノイズ成分を検知。車載サウンドシステムからロードノイズと逆位相の波形を持つ「耳に聞こえない音」を走行時は常時出力することにより、不快なノイズだけを打ち消すという仕組みだ。
路面から伝わる振動ノイズを車室内に配置したマイクで検知。サウンドシステムからノイズ成分と逆位相の「耳に聞こえない音」を出力して不要な騒音を打ち消す
ロードノイズが消えて、車室内が静かになる
今回、筆者はBose RNCの実力を、実車両による走行デモンストレーションにより体験できる機会を得た。
Bose RNCを搭載する自動車はまだ商品化されていないため、特別にボーズが国内で技術評価を行う環境でデモカーに試乗した。さらにBose RNCの機能は本来であれば「常時オン」で使われることを想定しているが、効果の有無を切り換えながら比較できる機器も整えていただいた。
