調査では、IBMの元従業員1100人以上への聞き取りも実施された。元従業員は、同社に年齢を理由に解雇され差別を受けたとして、マンハッタンの連邦裁判所に集団訴訟を起こした。
ブルームバーグが報じたところによると、原告側はこのたび裁判所に提出した文書で、IBM幹部が電子メールのやり取りで年配の従業員を「絶滅種」にすべき「赤ちゃん恐竜」と愚弄し、退職させる方法を話し合っていたと主張した。さらにIBM幹部は、自社が同業他社と比較してミレニアル世代の従業員の比率がかなり低いことに対する不満を示しつつも、解雇によりその比率は上がるだろうと述べたとされる。
IBMの広報担当は、同社には「組織的な年齢差別は一度もなかった」と反論。従業員解雇の理由は経営状況の変化であり、年齢ではないと説明したほか、2020年時点での米国内の従業員年齢の中央値は48歳前後で、2010年と変わっていないと指摘した。
原告となった元従業員の代理人であるシャノン・リスリオダン弁護士は「IBMでは実にひどい年齢差別が行われていた」と主張。「仲裁条項を利用して、世間のみならず、差別を主張しようとしている他の従業員に対しても証拠を隠そうとしてきた」と述べている。
ロイターによれば、米連邦裁判所は先月、IBM元従業員は退職時に結んだ合意により、年齢の若い従業員を確保するために自分が解雇されたと主張する集団訴訟を起こすことはできないとの判断を下していた。判事3人は、元従業員に集団訴訟の権利を放棄させた合意条項について、満場一致で有効だと判断。集団訴訟を起こす権利は、雇用における年齢差別を禁じる連邦法で定められている実体的権利には当たらないとの見解を示した。