豆の缶詰や洗剤、薄緑色のバナナは全て、人の手で顧客に届けられる。2021年後半時点では、米国のほぼ全てのスーパーで人手が大量に不足していた。
米労働省労働統計局(BLS)によると、2021年10月までに仕事を辞めた小売労働者は630万人近くに上り、10月の終わりまでには雇用主が約100万の空席を埋めようとしていた。こうした欠員の多く、そしておそらくその中でも切実に人材を必要としているのは食料品店だ。
人に食事が必要な点は今でも変わらないが、人々は食品以外のニーズを満たすため地元のスーパーを利用している。食料品店の売り上げは2021年12月、前年12月と比べて8.3%上昇し、2019年12月からはんと16.9%増加した。
労働者不足は、ネット注文と自動化により一部解消できる。2020年に非接触型の支払い方法を提供していた小売業者は67%で、全消費者の半分以上がそれを使用していた。それでも消費者は店舗に向かい、労働者が質問に答えてくれることや在庫を補充してくれること、食品を準備してくれることを期待している。
ここでは、食料品小売業者が少ない従業員数を最大限活用している方法を紹介する。
1. シフトを短縮する
労働力不足への対処法として簡単にできるのが全労働時間の削減だ。しかし、サービスを犠牲にせずにこれを実現するためには1日の間の異なる時間帯の客足を評価しなければならない。
米食品スーパーのクローガーは、店舗の閉店時間を一部の市場で午後10時から9時に早めた。これは客足が大幅に下がる1時間だ。売り場の間で営業時間を調整すれば大きな節約ができるかもしれない。
ある米東海岸のチェーン店は、労働者不足によりデリ売り場を最大5時間早く切り上げ、午後5時に閉店し始めた。客足データからはもしかしたら、デリの総売り上げの中で午後5時以降に生じる分はほんの一握りであることが示されているかもしれない。
2. ケーキなど労働力が多く必要とされる商品を減らす
デリ売り場と同様、スーパーのパンや肉売り場、調理済み食品売り場では、便利さを求める買い物客の需要に応えるための従業員への大きな投資が必要とされる。それでも、時と場所を選んで削減を行うことにより大きな効果がもたらされる。調理済みの食品は、食料品全体と比べて高いマージンを生みがちだ。
一部のチェーンは選択肢を少々減らすことで妥協点を見つけている。米コネチカット州の独立チェーン、ステュー・レナーズ(Stew Leonard’s)は、パン製造部にクラムケーキの種類を減らすよう要請している。