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2022.02.02

ロールスロイス、2021年が史上最高の年となった理由

Martyn Lucy/Getty Images

英高級車メーカーのロールスロイスは2021年、世界50カ国で5586台を販売し、年間販売台数は同社117年の歴史で最高を記録した。新型コロナウイルスの流行が追い風となり、世界の富裕層による同社製車の購入が増加したことが背景にある。

同社が2021年第1四半期に販売した車は前年同時期比62%増の1380台で、四半期販売台数の最高記録を更新。特に人気だったのがSUV(スポーツ用多目的車)の「カリナン」で、価格は33万5000ドル(約3800万円)からだ。

ベントレーやランボルギーニなどの高級車ブランドもまた、販売台数が過去最高を記録した。新型ウイルスの流行が始まって以降、世界の富裕層は資産をさらに増やし、高級品などへの支出意欲が増加。ロールスロイスなどの高級品メーカーが抱えた問題は、顧客を見つけることではなく、顧客からの強い需要に応える十分な数の商品を生産することだった。

ロールスロイスの販売台数は、同社にとって非常に重要な市場である南北米大陸や中国を含め、大半の地域で過去最高に達した。新型ウイルスの流行により、旅行などさまざまなことが制限されたため、富裕層の間では多くの富が蓄えられ、高級品に消費されるようになった。ロールスロイスのミュラーエトベシュ最高経営責任者(CEO)によると、同社では生産が需要に追いついておらず、現在注文した場合、納品時期は約1年後だという。

多くの自動車メーカーは半導体不足により生産を停止した。だがミュラーエトベシュCEOいわく、ロールスロイスでは半導体不足が懸念材料だったものの、親会社のBMWからは、生産継続に必要な半導体を全て供給するとの保証が得られたという。

ロールスロイスは超高級車市場で他社を大きく引き離しており、30万ドル(約3400万円)以上の車の販売台数で1位となっている。同社は完全電気自動車「スペクター」を2023年に発売予定で、その後2030年までに燃焼エンジン車の生産を停止する。

新型コロナウイルスの流行は開始から2年がたっても収束の兆しは見えていないが、富裕層の購買力も衰えていないようだ。そうした中でロールスロイスは、同社のファンが4年かけて自分だけの特注モデルをデザインできるサービスも発表している。

編集=遠藤宗生

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