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2022.01.29 10:00

プレスリリース事業の役割を見つめ直した、3.11での出来事|PR TIMES 山口拓己 #1

PR TIMES 代表取締役社長の山口拓己


事業が持つ社会的意義を捉えなおす


──「プレスリリースは終わった」と言われる中で、どのようにして「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」というミッションに出会われたのでしょうか?
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2008年頃からインターネットのデバイスがPCからスマートフォンに変わって、生活者はいつでもすぐに検索して調べるようになり、またSNSは閉じた空間からFacebookやTwitterといったオープンなサービスへ移り変わりました。このようにコミュニケーションや情報流通の劇的な変化が、プレスリリースの事業環境を根底から覆す変曲点となりました。

そしてもう1つ、私の中で「志」が芽生えるきっかけとなったのが11年の東日本大震災です。それまで、私は自分たちの事業が与える社会への影響をかなり限定的に捉えていました。

しかし、震災の時に「社会的に重要な役割」を果たすべく、困難に立ち向かって働き続ける人たちの姿勢に刺激を受けました。
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例えばヤフーさんは、Yahoo!ニューストピックスの編集を即日大阪オフィスでも作業を開始して翌日には24時間体制とし、翌営業日には東京だけでなく、名古屋、大阪それぞれの拠点で行えるようにしていました。ヤフーさんが当時掲げていた「人々の生活と人生のインフラとして、どんな時でもいちばん頼りになる存在であり続けたい」という想いが突き動かした行動だったと思います。



私たちも自分たちに何ができるか考え、震災の翌営業日に2つのプレスリリースを出しています。

1つめは「今の状況において、各社、情報発信が適切か慎重に検討していただき、内容に応じて発表延期を推奨する」というもの。

2つめは「震災に関わる情報の発信が、私たちの事業が有料であることによって阻害されているのなら、その情報は無償にしてでも積極的に発信していただきたい」というものです。

計画停電の影響などから自宅待機措置を余儀なくされるなか、サービスを止めずに顧客やメディアに対応し続けるのは本当に大変でした。

ただこの経験がきっかけとなって、自分たちの事業のポテンシャルや社会的な使命を見つめ直し、それに忠実であるか自問自答するようになりました。そしてその後のNPO・NGO、スタートアップへのサービス無償提供、さらに地方地域やスポーツの支援といった取り組みにつながっていきました。

ミッションについては、自分の原体験から生まれることもあれば、顧客から学んだり社会課題から設定したりすることもあるでしょう。

私はたまたま始めたサービスがいろんな経験を積むきっかけとなりました。間違いを犯し、失敗から学び、私たちの事業は何なのかを少しずつ深く考えられるようになり、いまのミッションに出会えたのだと思います。

※記事の内容は2020年1月21日時点のものです


山口拓己(やまぐちたくみ)◎1974年生まれ 1996年4月、新卒で山一證券入社後、アビームコンサルティングなどを経て、2006年3月、ベクトルに入社。取締役CFOに就任し、上場準備責任者としてIPOへ向けて指揮を執る。2009年5月、PR TIMES代表取締役就任。2016年3月、東証マザーズ上場、2018年東証一部へ市場変更。

文=平重 克樹 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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