経済・社会

2022.01.28 11:00

米史上初の「黒人女性最高裁判事」は誰に? 候補者の顔ぶれ

米連邦最高裁判所 / Getty Images

米連邦最高裁判所のスティーブン・ブライヤー判事(83)が今夏に引退する意向を固めた。ジョー・バイデン大統領は後任に連邦最高裁判事としては史上初となる黒人女性を指名する見通しだ。候補者としては首都ワシントンの連邦巡回控訴裁のケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事や、カリフォルニア州最高裁のレオンドラ・クルーガー判事が有力視されている。

ブライヤーは最高裁判事9人のうち、3人いるリベラル派判事のひとり。11月の中間選挙で共和党が上院の多数派を奪還する可能性もあることから、リベラル派の活動家や法学者、議員らの間でその前の引退を求める声が高まっていた。

バイデンはかねて、黒人女性を最高裁判事に指名することを公約している。有力候補のひとりであるジャクソンは昨年、バイデンの指名と上院での承認を経て連邦控訴裁判事に就任した。首都ワシントンの連邦地方裁判事からの昇格だった。それ以前には官選弁護人や量刑委員会の副議長などを務めた経歴がある。

もうひとりの有力候補クルーガーはジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ両政権時代、司法省訟務長官室の弁護士として働いた経験もある。

民主党のジェームズ・クライバーン下院院内幹事は、サウスカロライナ州の連邦地方裁のJ・ミシェル・チャイルズ判事の最高裁判事起用を検討するようバイデンに働きかけてきた。バイデンは先月、チャイルズを連邦控訴裁の判事に指名している。

バイデンの指名でやはり連邦控訴裁の判事に就任したティファニー・カニンガム、キャンディス・ジャクソンアキウミ、ユーニス・リーも候補者リストに名を連ねているかもしれない。

ブライヤーの後任にはこのほか、ミネソタ州の連邦地方裁のウィルヘルミナ・ライト判事、ジョージア州の連邦地方裁のレスリー・エイブラムス・ガードナー判事、全米有色人地位向上協会(NAACP)法的擁護基金のシェルリン・アイフィル代表らの名前も取り沙汰されている。ガードナーはジョージア州知事選への再出馬を表明しているステイシー・エイブラムスの妹。

バイデンによる後任指名後、共和党が承認を中間選挙後まで引き延ばそうとするのは確実だが、成功する可能性は低そうだ。共和党は2017年に、最高裁判事の承認に関して議事妨害(フィリバスター)ができないようにしているからだ。

ただ、現在の上院は民主党と共和党が50議席ずつを占め、上院議長を務めるカマラ・ハリス副大統領の一票で賛否が決まる状態にあるため、バイデンは党内の穏健派と革新派の双方から支持を得られるよう慎重に候補者を選ぶ必要がある。

バイデンに指名する候補が承認されても最高裁判事の構成は保守派6人、リベラル派3人で変わらないが、今後長い間リベラル派の判事を据えておけることにはなる。

編集=江戸伸禎

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