テクノロジー

2022.01.27 11:30

メタバース熱、テック大手のヘッドセット開発競争にも拍車


マイクロソフトはARグラス「ホロレンズ」を販売しているが、値段は3500ドル(約40万円)ほどする。現時点では消費者向けのものではなく、製造業や医療の現場での使用を想定した法人向けの製品だ。ただ、もともとはマイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」用のヘッドセットとして開発されたものである。マイクロソフトは先週、ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを690億ドル(約7兆9000億円)で買収すると発表した。買収はゲーム開発の経験が豊富な人材を取り込むことも目的のひとつにあるとみられ、VR分野の主要プレイヤーになるというマイクロソフトの取り組みに寄与することになりそうだ。

アップルもいくつかの方法でメタバースへの参戦をうかがっている。同社はここ数年、AR/VR分野の取り組みを強化しており、年内にAR製品を投入する可能性もある。アップルでは大勢の技術者らがこの分野に携わっており、どうすればこの新しく活気に満ちた分野を自社の製品やサービスに組み込めるかを探っている。アップルはAR/VR分野の人材採用も増やしているほか、数社も買収している。

グーグルは「プロジェクト・アイリス」というコード名でARヘッドセットの開発を進めており、2024年にも発売する見通しとなっている。ザ・バージの報道によると、「外向きのカメラを使ってコンピューターグラフィックスと現実世界の動画を融合させ、既存のARグラスよりも没入感の高い複合現実体験を生み出す」という。同社のスマートフォン「ピクセル」シリーズの最新機種のようにプロセッサーは独自開発し、基本ソフト(OS)は「アンドロイド」を搭載する。ただ、最近の求人情報によれば専用OSの開発も進めているもようだ。

グーグルは2013年にメガネ型端末「グーグルグラス」を発売したが、消費者の関心はあまり得られず、普及しなかった。ザ・バージによると、ARヘッドセットの開発プロジェクトは最近になってスピードアップしたが、現時点では明確な市場開拓戦略はないとのこと。グーグルはこのプロジェクトを秘密扱いとしており、かかわる人には特別なキーカードの使用や守秘義務契約の締結を求めているという。

フェイスブックは、メタバース構築のために世界で約1万人を採用する計画を打ち出している。リンクトインの求人検索で「メタバース」と入力すると、何千、何万という募集が見つかる。急成長する機会を求めている人は、VR/ARやメタバースに軸足を置いて求職活動をするのもよいかもしれない。

編集=江戸伸禎

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