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2022.01.30

大学生がルワンダ支援の人気カフェブランドを展開 神戸市の事業きっかけに

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「Tobira Cafe」のカフェブランド代表 山田果凜(20歳)

ルワンダ共和国は、アフリカ諸国のなかでも群を抜く治安の良さと、ICT立国を掲げた年率7%に達する経済成長で、世界から注目を集めている国だ。首都キガリには高層ビルが立ち並ぶ一方で、郊外の農村では貧困層の生活改善がなかなか進まないという現実もある。

神戸市は、2019年からこのルワンダに大学生や高校生を派遣して、新しいビジネスに挑戦してもらうという事業を行っている。

この事業では、参加希望者から選抜された約20名が参加し、2週間の滞在中にいくつかのチームを組んで、住民たちが抱える課題に向き合う。最終日には、各チームが考えたビジネスプランの発表会が行われ、ルワンダの成功した起業家たちが審査する。

農園労働者の賃金向上のために


2020年3月、沖縄県読谷村の女子高生だった山田果凜がこの事業に参加した。神戸市は、参加資格を市内在住や在学に限定していない。優れた若者が大胆なことに挑戦できる街でありたいと、全国の学生らに門戸を開いている。山田もその1人だった。

彼女は、現地で伝統工芸品を加工したアクセサリーを制作して日本で販売したいと訴えた。ルワンダの貧しい女性たちが作業を担い、日本人が身に着けたいと思う商品をつくる。両者に利点があるこの提案は、発表会では最優秀の評価を受けた。

帰国した山田たちは、アクセサリーの現地生産をはじめるために、ルワンダへ再び渡航しようとしたが、新型コロナウイルスの感染拡大でかなわず、この事業を休止せざるを得なくなった。

それから約2年が経った昨年12月、大阪大学人間科学部の2回生になっていた山田は、神戸ではおしゃれな街として知られる岡本に、ルワンダのスペシャルティコーヒーが楽しめる「Tobira Cafe」を出店した。

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ルワンダのフイエ農園の豆を使ったスペシャルティコーヒー(神戸岡本店)

彼女は、このカフェのオーナーではないのだが、世界中にいる最低限の衣食住や教育が保証されていない子供たちをサポートする「Tobira Cafe」というカフェブランドの代表として携わっている。その理由を彼女は次のように語る。

「ルワンダへの再渡航を断念したときに思い出したのは、首都キガリから車で片道5時間をかけて出かけたフイエ・マウンテン・コーヒー農園でした。上島珈琲やスターバックスとも取引があるルワンダ有数のコーヒー農園なのですが、実際は小さな農家の集合体で、現場労働者の賃金は低いのです。

でも、ここのコーヒーが日本で飲まれるようになると、農園労働者の賃金向上につながります。品質はとても高いので日本でも好まれるのではないかと思いました。Tobira Cafeを運営することで、売上の一部を貧困に苦しむルワンダの子どもたちに送れるのではと考えました」

山田は、ルワンダに滞在しているとき、宿泊先付近に住んでいる子どもたちがいつも「お金が欲しい」とせがんでくるのを目の当たりにした。日本では見られない光景だったという。

彼女はタイに10歳から6年間留学していたが、その際にインドの孤児院でインターンをする機会もあり、そのときに感じた「生まれた場所が違うだけで子どもの将来が大きく左右される」という思いがよみがえったという。
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文=多名部重則

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