ビジネス

2022.01.30 07:30

「代替タンパク質」大手がカナダ企業を買収、北南米での地盤を強化

(c) PlantPlus Foods

(c) PlantPlus Foods

植物由来タンパク質を製造するプラントプラス・フーズ(PlantPlus Foods)は、米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)と、ブラジルのマルフリグ(Marfrig)という2つの巨大食品加工会社が2020年に立ち上げた多国籍合弁事業だ。そのプラントプラス・フーズは1月19日、カナダのヴィーガン食品製造企業ソル・クイジーン(Sol Cuisine)を、およそ1億ドルで正式買収した。
advertisement

プラントプラス・フーズは、2カ月前の2021年11月にも、「Hilary’s」というブランド名で植物由来食品を展開するドリンク・イート・ウェル(Drink Eat Well)を買収したばかりだった。

プラントプラス・フーズのジョン・ピント最高経営責任者(CEO)は、2社の買収によって、南米と北米における「地盤強化」を積極的に目指す同社の動きに拍車がかかる、と話す。ピントはコカ・コーラの元幹部で、20年を超える経歴を持つ消費財業界のベテランだ。

「多国籍企業として産声を上げた当社は、アグレッシブに拡大していきたいと考えている」。ピントは先ごろ、Zoomでのインタビューでそう話し、マルフリグが南米で持つ植物由来代替肉分野における経営力とネットワークが、ソル・クイジーンを現地市場に投入する上でも役に立つだろうと述べた。
advertisement

ピッチブックのデータによると、ソル・クイジーンの2021年第3四半期の売上総利益は450万ドルに上った。また、前期売上は前年同期比で55.88%増だった。

戦略的リソース


ソル・クイジーンは1980年に、カナダ・トロント地域のベジタリアン・レストラン向けに高級豆腐を納入する企業として誕生。以降、代替タンパク質の大手メーカーに成長し、GMO(遺伝子組み換え作物)不使用の植物由来バーガーや前菜の製造にも手を広げてきた。

同社の創業者兼社長を務めるDror Balshineは、プラントプラス・フーズに買収されたことについて、ソル・クイジーンが今後も、人々の健康と地球環境にプラスの影響を与えていくのに役立つと確信している。

Balshineは声明で、「プラントプラス・フーズと手を結んだことで当社は、私たちが『ソル・メイト』と呼ぶコミュニティの拡大と革新を継続し、おいしさを重視した当社の製品を拡大していくことも可能となる戦略的リソースを獲得した。こうした戦略的リソースには、業界最高の品質を誇る原材料や経営支援、研究開発などが含まれている」と述べた。
次ページ > 今後の展望とM&Aの可能性

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事