経済・社会

2022.01.05 06:30

米議会襲撃事件から1年、国民の多くが「民主主義の衰退」を懸念

Photo by Samuel Corum/Getty Images

ドナルド・トランプ前米大統領の支持者らが連邦議会議事堂を襲撃した事件からちょうど1年となる1月6日を前に行われた世論調査の結果、米国民の多くはこの事件を、「さらなる暴力と民主主義の衰退の前兆」と捉えていることが分かった。

米公共放送NPRと調査会社イプソスが2021年12月17〜20日に共同で実施した調査では、回答者の32%が「襲撃事件はクーデター未遂、または反乱」であると回答。そのほか28%が「制御が利かなくなった暴動」、17%が「トランプの政敵による陰謀」だと答えた。

また、回答者の64%は、米国の民主主義は「危機的状態にあり、衰退していく危険性がある」との見方を示した。さらに、米国そのものがこうした状態にあるとみる人は70%にのぼっている。

CBSと調査会社ユーガブが実施した調査では回答者の62%が、将来の選挙においても暴力事件が発生すると予測しており、68%は1月6日の襲撃事件について、今後「政治的暴力が増加する兆候を示したもの」だと回答した。

暴力を認める意見も


米紙ワシントン・ポストとメリーランド大学が12月17〜19日に行った調査では、54%が「襲撃に加わった人たちは大半が暴力的だった」と答えた。各社の調査では回答者の大半が、この事件に責任を負うのはトランプ前大統領だと考えており、暴動に加わった人たちに対して否定的な見方をしている。

ワシントン・ポスト、調査会社モーニング・コンサルト、ABCニュースとイプソスが共同で行った調査ではいずれも、回答者の約60%が「この事件にはトランプが少なくとも、ある程度の責任を負っている」と回答。ワシントン・ポストの調査で「トランプに責任はまったくない」と答えた人は、前回調査の28%から24%に減少した。

ただ、CBSとユーガブが12月27〜30日に実施した調査によると、襲撃に加わった人たちを支持する人は2021年1月の調査では13%だったものの、17%に増加していた。

NPRとイプソスの調査では、24%が「米国の民主主義を守るためには、“時として”暴力も正当化される」と答えている(トランプ支持の有権者の間では、32%がこのように回答)。この割合は、1995年の調査開始以来、最も高くなっている。
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編集=木内涼子

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