経済・社会

2022.01.01 18:00

メリンダ・ゲイツ、10年前から揺るがない「自己表現」とは


冒頭の「世界で最も影響力のある女性100人」のニュースでも使用されていた、UN Womenなどが主催する「平等を目指す全ての世代のためのフォーラム」に出席したときの写真も然りである。


2021年7月、パリで開催された「平等を目指す全ての世代のためのフォーラム」にて/Getty Images

一般に、メディアへの露出が多くなればなるほど、人の見た目は磨かれていく。そして、必要以上に華やかになり、“お金の匂い”がしてくるケースも少なからずある。エスカレートすると、その人の立場や業種・職種と、プレゼンスが乖離していくのだ。

しかしメリンダ氏の場合は、いい意味でそういった変化がなかった。彼女は自分の役目や生きる目的、社会での在り方を、誰よりも明確に理解しているのであろう。

だからこそ、地に足がついた落ち着きや、質実剛健さ、暖かさを感じ、慈善事業家としての貫禄が際立って見える。彼女にとって、個人的にも社会的立場においても、自身の活動の文脈上で“お洒落”や“華やかさ”の優先順位が低いのだろう。潔ささえ感じる。

また、個人の趣向としても、元々そういったことが得意ではないのかもしれない。

ドレスアップがマッチしない?


もちろん、公の場でスピーチをする際やドレスコードのあるパーティのような場では、きちんとドレスアップをし、髪もきれいに巻いて出席している。しかし筆者は、その装いはどこか彼女自身とマッチしていないように感じるのだ。

それは、ひとたび彼女が口を開き話始めると、声や表情、話しのトーンから、彼女の持つ強さや深みがにじみ出るからだ。そうした、彼女の持つ“熱い部分”が、後付けのパーツで構成されるアピアランス部分に反映されていない。だからこそ、下手にドレスアップしているよりも、少しの「適当さ」があるほうがしっくりくるのだろう。

例えば時代をシャープに切り取るような職種の人であれば、トレンドやファッションに敏感な感覚を持っていることも必要だ。それもその人の重要な能力であるとみなされ、目に見える形で表現することも非常に大事なこととなる。

また、仕事は関係なく、そうしたことがお好きな方であれば、一個人の個性の現れとして良しとされる。彼女の場合は、そのどちらにも当てはまらない。
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文=日野江都子

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