リバッグは、シリーズEで調達した資金の一部を利用して、Clair AIの対象を、アクセサリー、ジュエリー、腕時計などのカテゴリーに拡大する予定だ。例えば腕時計に関しては、今年10倍の成長が見込めるとゴラは述べる。
「我々は、中核事業であるハンドバッグでの専門性を発展させ、同様のツールを他の3カテゴリーにも導入する取り組みを進めている。腕時計とジュエリーには豊富なチャンスが眠っていると我々は見ている。現時点では中核事業からの拡大にすぎず、いま手にしているものは、これらの分野の可能性の片鱗でしかない」
ゴラによると、ハイブランドは代表的なハンドバッグの生産数を絞っており、それが、一次市場でも二次市場でも、需要と価格の高騰を引き起こしている。エルメスは、バーキンやケリーといったバッグの生産数を明らかにしていないが、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、両モデルの生産数はおそらく2020年を下回っており、2021年の世界販売数はわずか10万個程度とみられる。
「需要を下支えする購入欲は莫大であり、供給との不均衡を生み出し、かなりのインフレを引き起こしている。我々も二次市場で同じ現象を目の当たりにしている」
リバッグはまた、今回調達した資金を利用して、テクノロジーを駆使した実店舗事業をスケールアップさせる予定だ。リバッグは1年ほど前から、従来のリテールモデルに修正を加えている。店舗じゅうにハイテクなタッチポイントを統合し、よりコンパクトなフォーマットでの没入的なリテール体験を実現しようとしているのだ。
同社は2021年12月、ニューヨークのマンハッタンで、同社初の「リバッグ・バー」をオープンした。従来の実店舗の縮小版であり、パーソナライズされたオンラインショッピングを通じて、リバッグのエコシステムの入口としての役割を担っている。
「我々は現在9つの実店舗をもっているが、まだ店舗のないエリアが存在するのは明らかで、少なくとも倍増は可能だと考えている」と、ゴラは言う。
マンハッタンに続き、フロリダ州マイアミとカリフォルニア州ビバリーヒルズでも、リバッグ・バーがオープンする予定だ。「米国のラグジュアリーハブのなかで、我々のプレゼンスがない場所はたくさんある」