食品の超高速配達サービスについて否定的な専門家は多いが、需要はあり、ドアダッシュには勝算があるという意見もある。
コンテンツ・マーケティング・ストラテジストのリサ・ゴラー(Lisa Goller)は、「ドアダッシュはフードデリバリー企業として定着している。ならば、さらに消費財の配達に手を広げるのも悪くはない」と話す。「ダークストア(配送拠点となる、ミニ倉庫のような店舗)があり、大勢の配達員もいて、他社に負けない報酬となれば、追いつくことは可能だ。地元に根差したマーケティングを展開し、倉庫拠点を多数配置し、優秀なサービスを提供すれば、ドアダッシュは差別化を図ることができる」
ドアダッシュのビジネスモデルのなかに、超高速配達サービスを支えるダッシュマートが登場してから、まださほど時間は経っていない。「オンライン・コンビニエンス・ストア」を謳うダッシュマートは2020年8月、米8都市でスタートした。ドアダッシュが配達するのは、サービス提供市場にあるレストランの食事やコンビニエンス・ストアなど小売店の商品が大半だが、ダッシュマートでは、レストランやブランド化されたコンビニエンス・ストアの商品のほか、およそ2000点にも上る日用品が、自前の倉庫に揃っている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのシニア・アナリスト、ジェニファー・バルタシュス(Jennifer Bartashus)は、ダッシュマートが切り札になりうると見ている。
「ドアダッシュにとってのダッシュマートは、既存のニッチプレイヤーに対する競争上の強みとなる可能性がある。ドアダッシュの既存ユーザーを引きつけることができれば、顧客獲得費用を抑えることができるかもしれない」とバルタシュスは話す。
「また、ドアダッシュの中核ビジネスが資金面での安定材料となり、超高速配達にかかるコストが相殺されうる。超高速配達分野で勝利を収めるためには、結局は、適切な品ぞろえと料金でサービスを提供し、配達依頼に一貫して応じることができるかどうかにかかってくるだろう」