それから3年が経ち、Lectric eBikesはEバイク業界で最も成長スピードの早いスタートアップとなった。
現在25歳の2人はアリゾナ州フェニックスでLectric eBikesを設立した。同社は、高品質で耐久性のあるEバイクを、1000ドル以下でダイレクトコマースで販売している。この価格は、TrekやGiant、ヤマハなどの大手と比べて格段に安い。
CEOのコンロウは、大学時代に電動スケートボードを販売した経験があり、Lectric eBikesでも営業とマーケティングを担当している。チーフ・イノベーション・オフィサーを務めるデジエルlは、最初のモデルのデザインと設計を担当した。
「我々がこの業界に参入したきっかけは、私の父親がEバイクを欲しがっていたことだ。当時、Eバイクの平均価格は3000ドルだった。我々は、ダイレクトコマースで販売し、コストを抑えることで、格段に安い価格で提供できることがわかっていた」とコンロウは話す。
コンロウの父親は、退職後の蓄えを取り崩して、会社の立ち上げに必要な資金4万ドルを提供した。しかし、最初に製造したモデルは全く売れず、彼の賭けは失敗に終わったように思われた。「最悪の事態だった。我々は、父のお金を使い切り、彼の退職後の生活を台無しにするところだった」とコンロウは当時を振り返る。
その後、2人は問題点を探るため、スタイルや機能、素材などについてユーザーからフィードバックを集めた。そして、新型の「XP」を設計した。しかし、製品を製造するためには、父親からさらに資金を提供してもらう必要があった。
「私は父に、あと1万ドル失う気があるか尋ねた。父は、その時点で退職後の計画が台無しになったことを悟っていたので、追加で1万ドルを出資してくれた」とコンロウは言う。
しかし、それを契機にLectric eBikesは復活を遂げた。
2019年には、月間1〜2台しか売れなかったのが、翌年には1月あたりのXPの売り上げが200万ドルに達したのだ。そして2021年10月には累計販売台数が10万台を突破した。コンロウによると現在の年商は8500万ドル(約96億円)に達し、2022年には倍増する見通しという。