米国のEバイクブームを牽引する25歳起業家のスタートアップ

コロナ禍で急拡大した自転車市場

「Lectric eBikesは、僅か2年で米国で規模が最も大きく、最速で成長しているEバイクブランドの1つとなった。設計やマーケティング、流通、カスタマーサポートにおいて斬新なアプローチを取り入れた結果、数千人もの購入者が同社の製品に満足し、ロイヤリティの高いユーザーとなった」と、Lectric eBikesに出資したBertram CapitalのパートナーであるRyan Craigは述べている。

米国では、コロナ禍で自転車の販売台数が急増しており、Lectric eBikesは最適な時期に市場に参入したと言える。調査会社NPD GroupのDirk Sorensonによると、自転車市場の規模は2021年7月までの12ヶ月間で65%拡大し、53億ドルに達したという。

「過去2年でEバイクの販売台数は240%増えた。自転車カテゴリーにおける売上シェアは、マウンテンバイクと子供用自転車に次ぐ3位となり、ロードバイクを上回った」とSorensonは最新レポートの中で述べている。

「我々は、999ドルの価格設定で攻勢をかけた。すると一気に売れ行きが伸び、急成長を実現した」とコンロウは話す。

アジア製のEバイクが到着する西海岸の港では混雑が続き、全米のサプライチェーンに影響が出ている。こうした中、Lectric eBikesはサプライヤーや海運会社との関係を強化し、資金状況も改善したことでこの状況を乗り切ることができているという。

Lectric eBikesの2モデル、「XP」と「XP Step-Thru」は、最高時速が28マイル（約45キロ）で、1回の充電で20～30マイル（約32キロ～48キロ）走行することができる。フレームは頑丈で、48ボルトのリチウムイオンバッテリーパックを搭載している。他には、太くて丈夫なタイヤや、後方のカーゴラックなどが特徴だ。

より快適なシートやカーゴラック、オリジナルの鍵とヘッドライトなど、全てのオプションを追加しても価格は1345ドルと、1500～3000ドルする競合製品よりも安い。同社は、全米に無料配送を行っている。

コンロウとデジエルは、より上位のモデルや機能を開発する準備を進めているが、最上位モデルでも価格は1700ドルを超えない予定という。彼らは、低価格でCO2排出量が少ない都市型ビークルを求めているデリバリーサービス向けに販売を強化したい考えだ。

コンロウは、父親を貧乏にさせずに済んだことを喜んでいる。「父親は資金を回収することができ、投資結果に満足している」と彼は語った。