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2021.12.09 15:00

社員は企業活動に納得しているのか? あえて「ユニコーンを狙わない」ファンドの狙い


「新しい秩序や構造変化を生み出す可能性のある事業を創発することを目指す」という理念のもと、パートナーとの協業によって投資先企業を育成・支援する枠組みをつくり上げ、これまでに13億円の出資金を集めた。そして、これまでにユニファとスクーの2社に「ワンショット1億円ほど」(鎌田)の投資を実施している。

投資委託会社がVCファンドを立ち上げるのは、やはり異例だ。優れた運用会社が優れたキャピタリストであるという定説は存在しないからだ。鎌田自身も「両者が持つべき資質は異なる部分がある」と認める。しかし、株式上場後も見据えたビジョンとパートナーとの協業を通じて、機関投資家ならではのキャピタリスト像を描いていくことになるだろう。

彼の人生訓は「いい投資は人を成長させ、さらには人格を磨く」。この言葉は、鎌田恭幸自身が創った言葉だ。時代の潮流に追随せず、自らが市場を切り開いていく資産運用会社の経営者としての一貫した姿勢がその言葉、そして自尊心に表れているようだった。


鎌田恭幸◎1965年、島根県生まれ。鎌倉投信代表取締役社長。三井信託銀行を経て、バークレイズ・グローバル・インベスターズ信託銀行副社長。同行を退任後、2008年11月に鎌倉投信を立ち上げる。メインの公募投信「結い2101」と別に21年「創発の莟(つぼみ)1号投資事業有限責任組合」を立ち上げた。

鎌倉投信◎2008年に鎌田恭幸が前職の同僚とともに立ち上げた資産運用会社。本社は鎌倉。10年には旗艦ファンドとなる「いい会社」への投資を行う公募投信の「結い2101」の運用と販売を開始した。販売会社を外部にもたず、自社で投資信託を直販するという資産運用業界でも珍しいビジネスモデルを展開。投資先への訪問会や経営者講演会、対面式の運用報告会を定期的に開催するなど、投資家との対話を重視している。

文=大崎 匠 写真=有高唯之

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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